学力と階層―教育の綻びをどう修正するか

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  • サイズ B6判/ページ数 319p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784023304055
  • NDC分類 370.4
  • Cコード C0037

内容説明

深部で進む「教育の地殻変動」に学力問題の第一人者が説く処方箋。

目次

1章 階層で学力が決まるのか。学力が階層を作るのか(授業の理解度、学習意欲に示される格差;家庭的背景が学力に大きな影響を及ぼす;学習時間の階層差とその拡大)
2章 義務教育の機会は平等に保たれているか(教育基本法改正が地域格差をもたらす;多様な価値観を否定する徳育教育;学習指導要領は学力を保証できるか;義務教育機会の不均衡化は経済格差を生む)
3章 これが教員勤務の実態だ―学校週5日制完全実施後の「教員勤務実態」調査報告から(現場の声に耳を傾けずに進めた教育改革―「教員勤務実態」調査1;教育改革は子どものために有効ではない―「教員勤務実態」調査2)
4章 教育政策をめぐる論点、論争(戦後教育の軌跡と現況、将来の課題―東京都立大学名誉教授、兼子仁氏との対談から;『大衆教育社会のゆくえ』以降 10年後のリプライ―日本大学教授、黒崎勲氏からの問題提起に答える)
5章 教育の綻びをどう修正したらいいか(学歴社会から学習資本主義社会へ;受験のレベルも授業のレベルも上げられない;「ダメ教師にムチ、優れた教師にアメ」政策は有効か;「自己実現」という名の迷路。フリーターからの脱出口はあるのか)

著者等紹介

苅谷剛彦[カリヤタケヒコ]
オックスフォード大学教授・東京大学大学院教育学研究科教授。1955年東京都生まれ。1979年東京大学教育学部卒業。1988年ノースウエスタン大学大学院修了(Ph.D.社会学)。専攻は教育社会学、比較社会学、現代日本社会論。『階層化日本と教育危機』(有信堂高文社)で第1回大佛次郎論壇賞奨励賞を受賞、『教育の世紀』(弘文堂)でサントリー学芸賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

きいち

36
ヒントの多い本。◇学力の階層間格差をめぐって、その背景や改善に向けた施策を考える際にかかわってくる問題群についての00年代のエッセイや論文を集めたもの。◇「学習資本主義社会」の考え方やその問題点を06年にすでに出していたのか、さすが。経験から学習する力、学習機会、学習意欲。これらが形作る学習能力は不確実性の高い社会では不可欠だが、その差は収入・地位の格差を正当化・拡大するものであるという両義性を持つ。◇ボトルネックは学習に向かう意欲だろう。機会をただ用意しても、利用すべき人に響かない。戦略性が必要になる。2017/04/09

かりん

3
5:静かに納得。面白い。「努力の不平等」はずしりときた。逆説的に今の仕事が正しいような気も。時間問題。少子化でもますます教育コスト増。No Study Kids。ポジティブ/ネガティブリスト。高知は埼玉の1.8倍の義務教育人件費。実証研究知。学びたいから学ぶ→生き残れないから学ぶ。利口な人的資本家。学ぶことを楽しみに変える能力。履修と修得。アノミー(欲求があるのに実現する手段がない状態)。2008/12/28

シノウ

2
著者の冷静で網羅的な分析が光る。日本の高度経済成長期から続く学歴という看板を得るための教育。今日の終身雇用制度の崩壊・能力主義社会の到来と相まって空転している。学習する地力は、生まれ育った家庭環境に依るところも大きい。日本社会はそのような境遇の子供の地力を引き上げる試みはせず、産業化した受験戦争へと駆り立てる。小学生から高校・大学卒業までの「学生期」ともいえる日本特有の社会から若者を分離し空想化した「自分探し」をさせる豊かさがいつまで持つか不安だ。学力は低下ではなく空洞化しているのではないだろうか。2018/10/21

Kentaro

2
ダイジェスト版からの要約 メディアに登場する「成功物語」の人物たちのキャリアに注目すると、昭和の時代とは明らかに違う。楽天の三木谷浩史、ソフトバンクの孫正義氏らに代表される起業家たちだ。時間をかけた知識蓄積型のキャリアアップに代わって、不確実性と変化の激しいビジネス社会を乗り切る、新たなスキルを手にした成功者が出現してきた。常識や伝統にとらわれずに時代の変化を予測する能力、コミュニケーション能力、イノベーション能力等々、問題を発見し、解決する能力も必要だ。「自ら学び、自ら考える力」の育成=「生きる力」だ。2018/07/18

たぬき

2
もあぁっとしているなぁ2013/05/31

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