内容説明
作家の「私」はパロディ文学の傑作たる『ドン・キホーテ』に憧れを抱き、いつかそのパロディに挑戦したいと夢見ていた。やがて書き始めた小説は、老文学者がセルバンテスになりきって『ドン・キホーテ』の第三部を書くというストーリー。連載は順調に進むかに見えたが…。幾重にも仕組まれた構造に文学観を埋め込む長編小説。
著者等紹介
清水義範[シミズヨシノリ]
1947年名古屋市生まれ。愛知教育大学卒業。1988年『国語入試問題必勝法』で吉川英治文学新人賞を受賞。パスティーシュの手法を用いた作品で最初に注目を集める。その後は幅広いジャンルの小説を発表し、教養書やエッセイも手がける(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
どらがあんこ
9
ドン・キホーテは中学生の頃一度読んだことがあった。図書館で借りてきてその日のうちに読んでしまい日記に書いたのを覚えている。それほど魅力的な作品だったのだろう。だからこれを読んだときドン・キホーテが頭の中に蘇った気がしたのだ。ただ原作を読んでいなくてもこの話は楽しめる。きっと小説を書く者、読む者、また好む者なら楽しめるのではないかと思う。 入れ子構造でありつつも物語がそこで止まっているのではなく動的なものであり続けるからこそ小説は揺さぶられ面白いものなのだろう。2018/08/14
KAZY
0
面白いんだけど読みにくいと思ったら最後にこんなどんでん返しがあろうとは。やられた感はあるもののちょっと物足りなさも。これが「建設的空中分解」なのか。2015/03/21
gkmond
0
なかなかすごい。まともに描写があるとこ2.3箇所、まともな会話が出てくるようになるのは後半、前半は評論でもエッセイでもないからまあ小説か、みたいな作り。なのに読み進めるのが苦じゃないって何これと思いつつページをめくる。で、まともな描写はあるキャラ限定なんだけど、ラストでそこにも作為がちゃんとあるのがわかる。納得はした。オチを発明できてたら生涯のベスト!とか言うんだけど、現実には大事なのは最後ではなく途中だって人なら読んで損はないと思う、くらい。2024/09/18
Hitomi Suganuma
0
本当はハードカバーでよんだんですが 清水さんらしい文で心地よく読めました2020/03/20
mi ya
0
素晴らしかった。前半はドン・キホーテがどういったものなのかを登場人物の小説で説明をし、後半にドン・キホーテ独自の構造を更に自分の小説に落とし込み物語を構築する技量は圧巻。そこまでが『ドン・キホーテ』なのかと痛感できる。最後まで読み進めたら、なぜ今もなおドン・キホーテが愛読されているか納得が出来るであろう。2018/12/04
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