出版社内容情報
世界金融危機、ギリシャ危機に直面した欧州の統一通貨ユーロは、いかに振る舞い、どのような限界を露呈したのか。導入から12年が経過したユーロの歩みを振り返り、現状を分析、そして今後の展望を示す。
内容説明
世界金融危機、そしてギリシャ危機に直面した欧州の統一通貨ユーロ。その役割と限界はどこにあったのか。導入から一二年となるユーロの歩みと通貨統合の歴史を振り返った上で、現状を分析し、今後の展望を示す。ユーロ圏が崩壊しないのはなぜか。危機の背後にある「リージョナル・インバランス」問題とは何か。
目次
1章 ユーロの歩み―一九九九~二〇一〇年
2章 ユーロ導入までの道のり―一九七〇~一九九八年
3章 ユーロはどういう仕組みなのか
4章 世界金融危機とユーロ
5章 ギリシャ危機と、ユーロ存亡の危機―二〇一〇年以降
終章 ユーロ再考―課題と展望
著者等紹介
田中素香[タナカソコウ]
1945年福岡県生まれ。1971年九州大学大学院経済学研究科修士課程修了。東北大学大学院経済学研究科教授を経て、中央大学経済学部教授、経済学博士。専攻はヨーロッパ経済論、経済統合論(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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jj
9
2010年刊。世界金融危機、ギリシャ危機に直面した時代の著作。通貨統合の歴史分析し、その後の展望を語る。ユーロの役割として、経済規模の拡大・経済圏の安定・世界第二位の基軸通貨。EUには当時約8000の銀行ああり、その資産の2/3は40程度の巨大多国籍銀行グループが保有している。通貨障壁のなくなったユーロ圏で収益率の高いユーロ建て金融の展開とドルビジネスに積極的の取り組んだという。通貨危機に際し、ECBが無制限にユーロ供給し銀行救済にあたるが、ユーロ未加盟の場合、十分でないという。2019/11/03
幸音
9
国際公共政策系の授業の2000字レポートに用いた参考文献。ユーロの成立と、問題としてEU内外に影響を与えたギリシャ危機についてまとめた。授業ではさらっと流したユーロの成立について詳しく書いてあったが、簡潔にまとめるのに苦労する長さだった。ギリシャ危機については、当時は理解しにくい問題だったが、3つの流れを理解できた。欧州中央銀行やEUからの援助は昨年度までの3年間となっており、今年から利子含め返還しなければならない。額も大きく、ギリシャは「3年以降の不安」を抱えている。今後の状況が見ものである。2013/01/19
D.Okada
4
制度的に、マーストリヒト条約がユーロ加盟国の経済発展格差を考慮せずに、通貨同盟・財政協力のありかたを決定していたことは議論の余地があるところだと思う。昨今の、北の経常収支黒字国と南の経常収支赤字国の歴然とした格差、特にギリシアとかイタリア(アイルランドは例外)が顕著なわけで、著者の言うように、長期的課題としてユーロ制度改革がなされるべきだと思う。2011/03/01
Tac Tomo
3
ユーロ加盟のメリットは、「国の信用力が強化され、金利が下がり、民間企業も国家も資金調達のコストが低下する」こと。このメリットを享受するため、南欧諸国は、物価と金利を何とか引き下げ、「加盟四条件」を満たした。結果、スペインやアイルランドにて、ユーロ建ての融資・投資が活発となり、住宅価格等が上昇した。パリバ・ショックおよびサブプライム危機により、バブルが崩壊し、ギリシャ危機で「リージョナル・インバランス」という問題が深刻化した。課題は色々あるが、ユーロは崩壊しないと著者は断言。ユーロの今後に注目していきたい。2020/04/30
メルセ・ひすい
3
14-50・59 赤50 学生、初心者向け電車用 概要新書。リージョナル・インバランスとは… EMSとは… 世界金融危機、ギリシャ危機に直面した欧州の統一通貨ユーロは、いかに振る舞い、どのような限界を露呈したのか。IMF. ECB.の対応 導入から12年が経過したユーロの歩みを振り返り、現状を分析、そして今後の展望を示す。キリシャ経済 の虚偽、膨大な公務員率、偽造領収書による脱税天国、年金搾取等の詳細は脱落。2011/02/24