出版社内容情報
昭和十九年,著者が三度目の応召でビルマに到着したころは,すでにインパール作戦は完全な失敗に終り,日本軍は全戦線にわたって悲惨な撤収をはじめていた.前線からの敗走につぐ敗走.そして終戦.あとにつづく捕虜生活.ビルマの山野を這いずりまわった体験と,その中で生まれる兵士同士や異国人との交情を描いた一兵士の生活記録.
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
kawa
36
昭和19年秋、帝大出の老兵が既に帰趨が定まったビルマ(現ミャンマー)戦線に召集される。その地は軍部のいけいけどんどん派が主導して墜ちいった悲惨なインパール作戦の敗残撤退戦の地。著者は激烈悲惨な闘いを経験すると言うより撤退に次ぐ撤退戦の中に巻き込まれる。そんな日常を敗戦行記として著す興味深い書。戦争の日常の一面が知れる貴重な記録。古い本なのだけれどメーター読者には今も読み継がれている。今年私で4レビュー目、知人から頂いた感謝の一冊(1982年刊・当時の定価380円/今は836円、まだ発刊中?も凄い)。2025/11/27
さきん
34
東大卒で家庭も持ち、日立の社員としてそれなりに平穏に暮らしていた著者の元に三度目の招集がかかる。インパール作戦失敗後のビルマにおいて、遅滞戦術しながら南ビルマへ退却する前半、敗戦後に収容所で過ごす後半に大体分かれて描かれる。日本軍は将校になったとたんに鉄拳制裁を平気でする様子に、周りのビルマ人からは、一般兵と違う人種のように思われたり、すでに今のミャンマー内戦につながるような、複雑な少数民族の関係が垣間見えたり。著者は巧みな事務処理能力と英語力でなんとか重労働からある程度逃れ、病気も何とか持ちこたえた。2022/03/21
かもすぱ
6
平成最後に読み終わった本。いち兵隊としてビルマ前線に送り込まれ、撤退途中に終戦を迎えた筆者の回想記。終戦後はイギリス軍捕虜となり復員するまでが綴られる。まずビルマ到着までがさらっと流されているが、インドシナ航路で僚船が軒並み魚雷により轟沈してるとかで一命を取り留めているのが奇跡。そんな環境の中で否応にも覚悟が決まってしまい、むしろ飄々とその日その日を生きていたのが印象的。戦闘の緊張と、現地人やイギリス軍との微笑ましいとも言える交流のギャップに驚く。面白かった。2019/04/30
ふっすん
4
一兵士とは言え、著者は東大法卒のインテリ。赤紙到着からビルマ出航、戦闘、敗戦、捕虜、帰国までの記録。学歴よりも手に職ある方が人間としてのランクが上であることを痛感している。与えられた刀を研ぐ仕事を知識ゼロで試行錯誤でやりながら、最終的にプロの研ぎ師がやっている方法と近似していた話は、文明の進化を見ているかのようだった。軍上層部の日本とイギリスの違いはどのように起きたのか。日本人は権力がないと心優しいまじめな性格だが、権力を持つと人が変わる人種なのか、それとも万国共通なのか、深掘りしたくなる内容であった。2025/01/19
こばゆ
4
父に1冊もらう。私には祖父の記憶がほぼないが、博識なおじいさんの戦争の話を聞いている感覚でどんどん読む。食べ物の話や手柄話が混じったり。著者記述通り「壮烈な戦闘場面は」なく、ビルマ戦終盤に応召、白骨街道の渦中ではないが至近にいた人の手記。中でも、何くれとなく親切にしてくれるビルマの人々が下級日本兵たる著者に「日本軍将校は何国人か」と尋ねたというのが衝撃。「同じ日本人ならどうしてあんなに殴ったり下男同様に扱ったりできるのだ。彼らはエングリ(英人)と同類だろう。マスターは恥ずかしいのでかくしているのだ」2022/01/07
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- 和書
- 妙法蓮華経 - 不老不死




