出版社内容情報
ホカート(1883―1939)は,自らの調査と文献渉猟によって,「聖なる王権」という思考体系が一つの文化圏を形成していることを立証しようと試みた.そして,戴冠式などの儀礼の構造分析によって各地域の儀礼が構造論的に対応していることを解明する.本書は構造主義人類学の先駆的業績であり,王制研究の基本文献である.
内容説明
ホカート(1883‐1939)は、自らの調査と文献渉猟によって、「聖なる王権」という思考体系が一つの文化圏を形成していることを立証しようと試みた。そして、戴冠式などの儀礼の構造分析によって各地域の儀礼が構造論的に対応していることを解明する。本書は構造主義人類学の先駆的業績であり、王制研究の基本文献である。
目次
王の神性
神よ、王を救い給え!
瘰癧
王の正義
神饌
戴冠式
結婚式
役職者
祭司
敬意の複数形
イニシエーション
神の徴し
塚
神話と築山
天地創造
ヨシュア
神々
エピローグ
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
壱萬参仟縁
5
白版。1927年初出。比較文化史を開拓したホカート(橋本和也稿406ページ)。96-97、116-117ページにフィジーの民族儀礼の写真あり。「人間は事実を、自分が理解できる限りにおいて伝承の中に保存しようと努力したのであり、古代ゲルマン人は当時実際に行なっていた人間の供犠を詳細に記録しただけである」(306ページ)。自分たちの価値観を継承するには残す必要がある。神話とは、生き生きとした想像の産物(323ページ)。「病んでいる魂は苦悩から離れて、その痛みを和らげてくれるものを求める」(374ページ)。妙。2013/02/04
ラウリスタ~
3
かなり面白かった。『通過儀礼』なんかと近い内容。レヴィ・ストロースの研究を先駆けているのかも。個々の事実の研究というよりも、世界各地に残る儀礼、伝承に関連を見出していく、ある種アクロバティックな論。当時は根拠がないとか批判されたのも頷ける。王=神=太陽の分析は面白いし、ヨーロッパ文明に残存する、未開文明以上に荒唐無稽な儀礼の分析は面白い。2013/03/06
鏡裕之
2
ホカートは300頁以上を費やして、「即位」などの儀式について詳細を記している。それに対してホカートなりの分析を加えているが、鬱屈していたのかよっぽど頭に来ていたのか、比較言語学と同じ試みをしない同業者に対する批判が数多く書き込まれている。ホカート自身は、エネルギッシュだが、ちょっといやな人だったのかもしれない。個人的には、結婚する時に新郎新婦は一時的に「王」と「王妃」になるのだという指摘は面白かった。2013/01/31
葛城吉隠
1
要再読 自分の専門分野が違うため、理解するのに時間がかかる。2024/03/29
レガスピ
1
再読の必要あり。2020/05/16
-
- 和書
- 生きるということ