出版社内容情報
紺碧の空,まっ白な家々,石だたみの坂道……南スペイン,アンダルシアの故郷の町をこよなく愛した詩人ヒメネスが,ろばのプラテーロを友として過した青春を,美しい散文詩で描く.
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
NAO
50
作者が1905年に故郷に帰郷してから、1912年に実家のぶどう園とぶどう酒醸造所が破産して母親兄と3人でマドリードに出ていくまでの7年間の田園生活の中で、美しい自然描写と深い思索が思いのままにつづられている。アンダルシアのエレジーと副題にあるように、ヒメネスの心の底にあるのは深い憂愁だ。作者は、憂いのまなざしで故郷の自然を人々を見つめている。それでも、憔悴した詩人を慰めるのも故郷の自然であり、純朴なロバプラテーロだ。作者は美しい自然に陶然とし、子どもたちの行為や動物たちの仕草を見てさえ自由を強く渇望する。2025/03/23
順子
0
乾いた魂に湧水を飲ませるように、時々読みたくなる本。長南実の翻訳も、オルテガの挿絵もとても良い。大人向け翻訳の方も読んでみよう。2012/10/03
eazy
0
ロバのプラテーロと少年〜青年時代の作者とのアンダルシアの自然を背景にした散文詩集。 ナイーブで優しく(闘牛や闘鶏が大嫌い)、動物や弱者を見る目はとても温かい。 しかし時に虚無的で厭世的でもあり、社会や大人たち、そして未来に対して小さな冷たい青い炎を上げるよう。 どこかにロバを唯一の友とせざるをえなかった金持ちのぶどう農園の、病弱で芸術を愛する青年の疎外感が悲しい。 ノーベル文学賞受賞者。 「結核の少女」の一編がたまらなく優しく美しい。2005/08/01
june urigaya
0
J.R.ヒメネスの故郷、Spain Moguerの、なんて牧歌的でおっとりしたことか。短編をすこしずつ読み進めながら、いつのまにか、自分がプラテーロと一緒に、村や木立を散歩をしているような気分に。Moguerの魂はパン。。。を読みながら、思い出した。スペインのパン屋さんは、働き者で、朝いちばんに焼いたバゲットを、一軒に一本ずつ、配達してたっけ。のんびりと過ごしたい、まさにこのお正月にお勧めの一冊。2024/12/22
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