内容説明
日本列島では三世紀半ば以降、箸墓古墳や大山古墳(仁徳天皇陵)ほか、驚くほど巨大な前方後円墳がいくつも生まれた。なぜこの時期に、この形状で造られたのか。最新の発掘成果から描くことのできる、当時の社会のありようとは?考古学と歴史学がタッグを組み、長年問われ続けてきた古代の“巨大な謎”に挑む。
目次
“前方後円墳”への招待
前方後円墳とは何か
古墳と政治秩序
国の形成と戦い
歴史学から見た古墳時代
加耶の情勢変動と倭
前方後円墳が語る古代の日韓関係
座談会 いま“古墳”から何が見えるか
著者等紹介
吉村武彦[ヨシムラタケヒコ]
1945年生。明治大学名誉教授。日本古代史
吉川真司[ヨシカワシンジ]
1960年生。京都大学教授。日本古代史
川尻秋生[カワジリアキオ]
1961年生。早稲田大学教授。日本古代史(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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月をみるもの
16
最初「岩波らしくそつなくまとまってはいるが、これといった新規性はないな、、」とか思っていたら、後半の「加耶の情勢変動と倭」に完全にやられてしまった。高句麗の南下に圧迫された金海勢力が選んだふたつの移住先は、内陸の高霊と河内平野。この移住が倭国に須恵器・馬具・鉄鏃といった新しいテクノロジーをもたらす。百済の前方後円墳だけでなく、大成洞古墳群も絶対見にいかねば。2019/08/30
しんさん
5
図書館本だけど、買いなおしたいくらいの良本でした! 様々な角度からの最新研究成果がわかる。特に、韓国側の研究が刺激的だった。伽耶の一派が畿内に移住したことが、ここまで明確な物証がでているとは。巻末の各章筆者の座談会も、お互いへのリスペクトや古墳愛が感じられて楽しい。やっぱりいずれ買おう。2022/02/28
黒豆
4
サブタイトル(巨大古墳はなぜ造られたか)にあるように前方後円墳に関する複数の考古学研究者による解説書。6巻シリーズの1巻目。前方後円墳は何の形か?密閉型石室と開放型石室の違い、複数の人が埋葬されている、地域差、など興味深い内容多々。次巻の古代の都-なぜ都は動いたのか-が楽しみ。2019/11/09
おらひらお
3
2019年初版。古墳時代の概説書ですが、各執筆者のスタンスが調整されていないところもよいですね。これから古墳を勉強する人には必読かな?2019/09/01
Takashi
3
スタンスの異なる研究者によって前方後円墳研究の最前線が語られる一書。内容は示唆的で実に面白い。威信財の解釈など、研究者へのアイロニーも込められて、思わずニヤリとさせられる。もっとも理論的な語り口が多く、発掘調査成果を積み上げていった「土の匂い」があまりしない概説書といえようか。数多くの古墳を掘って掘って掘りまくって、その先に見えてきたものを書いてきた大先達とは異なるスタンス。これもまた時代の潮流なのだろうか。2019/07/13
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