出版社内容情報
原始共同体,古代日本,ヘレニズム・ヘブライズム,そして近代──文化や社会の形態によって「時間」の感覚も観念も異なる.自然と人間,共同体と都市,市場と貨幣などの関係に注目し,古今東西の文献を縦横に渉猟しながら得られた非近代社会の事例との比較によって,近代的自我に特有の時間意識の形成過程を解き明かす.
内容説明
『定本見田宗介著作集』を完成させた著者が「社会学者」としての役割から離れて全力を傾注した、真木悠介の名を刻印されたテクスト。多様な学問分野を縦横に飛翔し、幅広い領域に影響を与え続けている作品群を精選・改訂、各巻に「定本解題」を収録する決定版著作集。
目次
序章 時間意識と社会構造
第1章 原始共同体の時間意識
第2章 古代日本の時間意識
第3章 時間意識の四つの形態
第4章 近代社会の時間意識1―時間への疎外
第5章 近代社会の時間意識2―時間の物象化
結章 ニヒリズムからの解放
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ぽん教授(非実在系)
4
循環し、数量に還元されない時間概念が原始社会にあった。時間を数量化する古代ギリシャ、時間を循環せず直線的に捉え最後週末へと至ると考えたヘブライズムとが融合する中でゲマインシャフト→ゲゼルシャフトへの移行という近代化のもと直線的で数量的な近代人の時間概念が発生した。この時間概念は人間性を阻害しニヒリズムを発生させるのだが、解決策は幸福な過去に戻るのではなく人間の生を解放することであると著者は言う。果たしてそうした解決策は採用できるのであろうかという観点では非常に疑問を持たざるを得ないが面白いと言えば面白い。2015/11/13
ゆうき
3
原始社会において時間は循環するものであり、ヘレニズムでは円環的な時間、ヘブライズムでは線分的な時間、近代では直線的な時間と分類される。近代社会は時間に管理されることで資本主義を生み出し、個人に時間の中で労働をするシステムになった。それは時間による生の拘束である。そして近代社会は時間の終わりである死を封印した。近代社会において死は解決不能な問題であり時間から排除すべき存在とした。2014/12/24
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