内容説明
あなたは目をつぶって一〇〇メートルを走れますか?リオ戦士たちの「目で見ない」世界はおもしろい。
目次
第1章 視覚なしのスポーツを見る方法(空間の人工性;ゲームの条件としての「視覚なし」;目の見える人との関わり)
第2章 ブラインドサッカー―落合啓士選手・加藤健人選手の場合(ブラインドサッカーとの出合い;攻撃中は主観ショットでビジュアル化 ほか)
第3章 競泳―木村敬一選手の場合(世界レベルでも珍しい見た記憶がない水泳選手;試行錯誤して確立したパワータイプの泳ぎ ほか)
第4章 陸上競技―高田千明選手の場合(目が見えなくなったことには気づかなかった;短距離―選手と伴走者の距離はたったの一〇センチ ほか)
第5章 ゴールボール―安達阿記子選手の場合(弱視の見え方はさまざま;初めての目隠しでパニック ほか)
著者等紹介
伊藤亜紗[イトウアサ]
1979年東京都生まれ。東京工業大学リベラルアーツ研究教育院准教授。専門は美学、現代アート。もともとは生物学者を目指していたが、大学三年次に文転。2010年に東京大学大学院博士課程を単位取得のうえ退学。同年、博士号を取得(文学)(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
けんとまん1007
35
前作に引き続き、いろんな気づきがある。制限された中だからこそ、かえって動きやすいということ。街中では、予想がつかないからこその危険性がある。なるほどと思う。そもそものスポーツとしての視点が異なることを踏まえて、障がい者スポーツ競技をみる必要がある。俯瞰、スイッチというのが、重要なキーワードで、これは、スポーツ全体にも通じることでもあり、日常の生活にも言えることだと思う。2018/11/01
おさむ
30
伊藤さん2冊目は、パラアスリート達のインタビュー集。ブラインドサッカー、競泳、陸上競技、ゴールボール。それぞれの選手たちが何故視覚無しでプレイ出来るかを、健常者にわかるようにかみ砕いて紹介しています。皆悩みも抱えながらも、前向きで明るい事に驚きます。スポーツを通して培った自信の現れなんでしょうね。2020年パラリンピックを前に、あらゆる日本人の必読書ですね。2019/10/24
百太
26
ふむふむ。障がい者スポーツの本となると、ついヒューマンドラマ的なものばかりの印象の中。これはよい!紹介してくれた読み友さん、ありがとーーーー! 2019/04/04
nbhd
20
人間ドラマばかりが取り沙汰されがちだけど、目の見えないアスリートたちは技術的にめっちゃすごい。競泳選手には、直進するためにロープに手やひじを当てて進路を確認する技術がある。それがすごい。ブラインドサッカーの足に吸い付くようなドリブルは、メッシさながら、「サッカーがハイレベルになるとブラインドサッカー化してくる」らしい。それがすごい。だから「障害をのりこえて云々かんぬん…(涙)」じゃない。そもそも、ゲームのルールが違うんだから。「障害はともにある!」という考え方。すっごーい、おっもしろそー!の連続でした。2020/11/10
tom
19
著者の伊藤亜紗さん、たぶんかなり優秀なインタビューアだと思う。この本は、目の見えないアスリートからインタビューをしながら、彼らがどんなふうに空間を認識し、プレイしているのかを聞き出すもの。私にとって最も面白かったのは競泳選手の話。目が見えない=モデルとなる泳ぎ方が分からない。水の中の空間の配置が分かりにくい。合理的な泳ぎ方がつかめないから、体力で泳ぐことにした。クロールと背泳は、体をひねるから、すこぶる泳ぎにくい。なるほど。見えるというのは、こういうことかと思うところがいくつも。2019/09/04