充たされざる者〈下〉

充たされざる者〈下〉

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  • サイズ B6判/ページ数 366p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784120027055
  • NDC分類 933
  • Cコード C0097

内容説明

心をかきむしられる既視感、薄明の記憶の底から揺らぎ現れる人物や風景。夢魔に魅入られたような状況のなかで、ついに「町」の蘇生をかけた「木曜の夕べ」が開幕する。ライダーと市民は危機を克服できるのか。世界の読書界を騒然とさせた野心作は思いもかけない結末へとむかう。イシグロが同時代におくる渾身のメッセージ。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。

ヴェネツィア

338
カズオ・イシグロの第4作目の長編だが、これまでの作風とは大いに趣きを異にする。また、それ以降のイシグロの歩みを見ても、彼は常に自らに創作上の実験を課してきたようだ。その中でも最も斬新な試みがこの作品だろう。冒頭から物語の行方は見えないのだが、作中のライダーも、そして我々読者もまた五里霧中の状態で、この街を彷徨うことになる。そして、とうとうアイデンティティは回復しないままに終わりを迎えるのだ。アイデンティティを模索した20世紀の後にやってきたのがこの小説だとすれば、私たちの向かう先は不明と、不安でしかない。2016/05/11

HIRO1970

115
⭐️⭐️⭐️⭐️カズオ・イシグロさんは6冊目。初めて自由に書いたと言う本作は、過去の作品とは余りに異なるお話でした。場所と時間と人物と時系列が特定されずにバラバラにパラレルワールドに散らばっていたらどうなるか?独創的過ぎる実験に付き合う読者は当然の如く混乱してフラストレーションが溜まります。20世紀末の東西冷戦の終結が混乱と混沌をもたらす事を暗示しているかのような感覚を持ちました。場面展開の早い喜怒哀楽とともにパラレルワールドのサークルをフラフラと進む主人公はあたかも輪廻を巡る泡沫(ウタカタ)の様でした。2016/08/07

どんぐり

68
ライダーの行くところ、まったくもってばかげた障害物ばかり。シュテファン、ブロツキー、ライダーがコンサートホールで演じるはずの大円団は訪れず、予定調和的な結末もない。これは充たされざる読書体験。2016/05/23

アキ

42
急いでしなければならないときに限ってこちらの都合も顧みずもったいぶった言いようで控えめに自分勝手に要求を押し付けてくる人たちばかり。高名な演奏家への通り一辺倒の過剰とも言える敬い方の裏に潜む昔を知る同級生の蔑みに、苛立ちが隠せなくなり爆発するも素知らぬ顔。登場人物が皆一筋縄ではいかない表と裏の顔を見せ絡み合いながらコンサートの夜に思いもかけぬ事件ばかり。最後はそんな終わり方なんて。読者までもが置いてけぼりになりそうな不思議な感触。途中読ませるのは会話による人物描写が秀逸だから。ガーディアン紙15/10002018/11/13

ophiuchi

20
「私を離さないで」や「日の名残り」を以前に読んでいたので、「忘れられた巨人」には戸惑ったが、これを知っていたら違っていただろう。こんな話を読ませてしまう筆力に脱帽するしかない。ノーベル賞受賞で彼がファンであるという村上春樹の名前が出てくることも多かったけど、一定のパターンを保っていて安心して新作を読めるハルキとは対象的に、これからも読者を驚かせる作品を書いてくれそうだ。2017/11/13

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