読書という航海の本棚＞意識 - 紀伊國屋書店ウェブストア｜オンライン書店

電子版あり

和書非有機的生講談社選書メチエ

仰々しい表題に目を奪われた。四文字熟語…

コメントを全て表示

タグ意識

電子版あり

和書死は存在しない - 最先端量子科学が示す新たな仮説光文社新書

店頭に面陳してあるのを昨年末に見つけ、…

コメントを全て表示

店頭に面陳してあるのを昨年末に見つけ、表題ではなく副題に惹かれ購入した。終活の時期に足を踏み入れたからだ。
　題名だけであれば、新興宗教のいかがわしい教義の押し売りに聞こえるが、著者は工学博士であり、量子科学における最先端の研究成果を根拠に、避けてはとおれない「死」という謎を解明しようとしている異色の宇宙物理学の解説書だ。
　今世紀になり、科学と哲学が接近しつつあることを複数の科学書を読んで感じてきたが、本書は、ある意味、両者の究極の融合である。人生の終焉を視座に、宇宙創成までの時空間へと遡及し、仏教の教え等にも言及しながら、「意識」を階層的に定義することで、死後の世界を解き明かしていく。
　宇宙が記憶を蓄える「波動」であるが故に日常生活性で起こる直観、以心伝心、予知、予感については、私も何度か経験してきている。旅先では古書店を偶然に見つけることも多い。そして探していた本がそこにある。このような「本に呼ばれる」という現象も、単なる偶然ではなく、書物自体にも意識があるからだろうと思う。
　著者は、そこまで踏む込んではいないが、読書を重ね、数多の書物に囲まれて生活することで、意識の下部が活性化し、「宇宙意識」とのつながりが強化されるのだとの個人的な見解を再確認できた次第だ。
　また、ＳＦの名作、レムの『ソラリス』やクラークの『幼年期の終り』の引用は極めて効果的である。内容理解の一助になるばかりでなく、科学者にとって想像力が重要であることよく分かる件である。
　「仮説」であることが強調されているが、量子力学の研究が進むことで、人の意識自体がWWWを超えたUniverse　Wide　Networkへと組み込まれていくことが可能になるだろう。その過程で、本書の内容が「事実」であると証明されるのではないかと期待している。
　その時を目撃をするためにも、健康で長生きしたいと思う。本書は、生き様を諭す指南書でもある。

タグ量子科学、宇宙意識、死

洋書 Photography and the Optical Unconscious

昨年から、写真史への興味を持つようにな…

コメントを全て表示

昨年から、写真史への興味を持つようになってきたので、２冊を読ん後、紀伊國屋ウェブストアで英書の関連書籍を探していて見つけた一冊。発注した昨年の12月には、記載内容をあまり深く吟味せずに、表題の「光学的無意識」に惹かれ、衝動買いのような状態だった。
　それから約７週間後、読み始めて歓喜したのは、写真家としてのヴァルター・ベンヤミンの視覚文化的な考察に焦点が当てられていることが分かったことだ。情けない話だが、この注文後の期間に、岩波文庫版の『パサージュ論』（コメント参照）５冊を店頭で買い、読み始めていたのに、このドイツ生まれの偉大な思想家が、カメラを使いこなしていたことに気がつかなかったのだ。
　本書には15編の論述が収録されている。第1章には「パリの商店街（アーケード）で売られている時代遅れの19世紀の生産物」の今日的意味に触れる場面もあり、間接的に、この本の読書が、『パサージュ論』を補完しそうな予感にときめいている。
　さらに、並列するような重みでフロイトの『夢判断』の考察も含まれていて、レンズをとおしての視線を軸に、日常生活の眼差し、写生の視点、そして潜在意識下の心象も包含する内容で構成されているのが刺激的だ。
　この構成は、背表紙のアルファベットの位置にも反映されている。「天」を上に書棚に配架すると、背表紙の英単語の向きが通常の英書のそれとは逆になるのである。この向きは独語の本では正常なのだが（名探偵コナンもある事件で指摘していた）、私には、鏡像のイメージを打ち出すための意図的な装丁に思えるのだ。第６章ではフロイト心理学を考察するMirrors　of　Memoryという本が紹介されている。
　写真は動画と異なり本来静かなメディアのはずだが、この本の購入から読書にいたる経緯で、私の心はざわつき始めた。この分野で読みたい本が一気にふえたばかりか、頁をめくる際に目に入る古めかしい白黒写真の中の人物たちが、動きそして語りかけてくるような気がしはじめたのだ。
　当時は撮影と現像に時間を要したのだろうが、切り取られた時間が刹那であるが故に「永遠」が取り込まれていると感じている。

タグ無意識、光学、写真、刹那

電子版あり