出版社内容情報
十七歳と十六歳の夏の夕暮れ、きみは川べりに腰を下ろし、〝街〟 について語り出す――それが物語の始まりだった。高い壁と望楼に囲まれた遥か遠くの謎めいた街。そこに“本当のきみ”がいるという。<古い夢>が並ぶ図書館、石造りの三つの橋、針のない時計台、金雀児(えにしだ)の葉、角笛と金色の獣たち。だが、その街では人々は影を持たない……村上春樹が封印してきた「物語」の扉が、いま開かれる。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ひろみ
8
大好きな作家の新刊(文庫を待ったのだけど)を読む時間の幸せを堪能。 春樹さんの長編で、40代半ばの主人公は珍しい印象。時間が鍵なのかな。そして、今まで読んだ長編と比べて物語の展開もゆっくり。説明や心情の描写が多い印象。 何はともあれ、物語の世界にどっぷり浸っております。下巻は連休の楽しみです。2025/04/30
ちぇけら
8
別れはしばしば引き算として、人生からたいせつなものを損なっていく。傷ついてできた窪みには深い井戸のように冷たい黒い水がなだれこみ、呼吸することもままならなくなって逆さまの世界に流されてしまう。マイナスにいくらプラスをかけてもマイナスのままだから、流れた涙はいつか雨になってまた頬を濡らす。たどりついた暗闇では、ぼくには影がないのか、はたまたぼくが影なのかわからない。唯一のひかりだったきみの記憶も、とおい壁の向こうにおいやられてしまった。時間ばかりが過ぎてゆく。「恐れなければ、壁なんて存在しません」下巻へ。2025/04/28
ネルシュン
1
文庫版による再読、村上春樹の文章は本当に心地よいリズムがあり、どんどん読み進んでいきます。2025/04/28
aaboo
0
子易さんの図書館と壁の街との関係は?下巻が楽しみだ。2025/04/29
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