内容説明
祖母の葬式が終わり、家族で祖父の生家に向かった天宇(たう)。母屋の蔵で、祖父が十代のころに書いた手記を見つけた。中学生だった祖父に興味をもち、「開くなら、あそこがいいな」と、町を見下ろす休憩所にやってきた。そこで出会った女性に「わたしがあなたなら、読むかもしれません」と、背中を押された天宇。
昭和二十六年八月と記された表紙が風でめくれると、こう書かれていた。
「あれから六年がたった。
……できるだけ正しく、あの年のことを記しておきたい。
だからまず、あの人との出会いを書かなければならない──」
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
☆よいこ
90
児童書。YA。戦争関連本▽ずっと会っていなかった祖母(父親の母)が亡くなり、葬式のために家族四人で広島に行く。祖父は耳が遠く、泣くばかりで会話ができない。小6の桜庭天宇(さくらばたう)は、祖父の実家で古いノートを見つけた。そのノートは当時中学生だった祖父が、自身の過去の体験を綴った手記で、1945年の夏の出来事が書かれていた。「あのとき、あの地に、叶えることができなかった約束や夢は、いくつあったのか」▽「元気いっぱいめそめそしている」という表現は初めてでした。2025.6刊2026/05/06
はる
56
良かったです。心に響く物語でした。祖母の葬儀のため父親の故郷に来た小学6年生の天字。彼女は偶然、母屋の倉からおじいちゃんの書いたノートを見つける。そこには子供の頃に出会った一人の少女のことが描かれていた……。微笑ましい二人のやりとりは甘くて繊細。だがその一方で、戦争の惨たらしさは容赦がない。良質の児童文学。2025/08/28
ブルちゃん
41
この題名すごくないですか。題名だけで即読むと決めました。わたしの中の今季タイトル選手権優勝です。一九四五年の八月。おじいちゃんの大切だった人、夢、約束。「人として」の章は、胸が締め付けられる感覚、「約束を、もう一度」の章は、おじいちゃんの手記に、わたしも愛する人たちを心に。と思いました。2025/08/10
雪丸 風人
23
新たな戦争文学の金字塔。エモい!泣ける!みたいな言葉では言い尽くせないほど揺さぶられました。小6の少女が法事で出向いた地で、祖父の古い手記を見つけたことで、思いがけない歴史の一幕に触れることになります。この物語に出逢えてよかった!人間を狂わせる戦争の哀しさが、息苦しさを覚えるほどの臨場感で胸に迫ってきました。それでも、いま、読んで良かったと心から感じています。感情の奔流が止まらなくなったのは手記の結び。祖父が書き残した決意に胸を打たれ、物語を振り返りつつ静かに涙しました。(対象年齢は11歳半以上かな?)2025/06/15
joyjoy
20
「おじいちゃんが、元気いっぱいめそめそしている。…ひたすらしゃべって、泣きはらす。」最後まで読み終えてから、この最初のシーンのおじいちゃんの心持ちを思うと、また泣けてくる。「…でも、それでいいんだ。ぼくが涙を流すことをきっかけに、その人が、これからも生きてゆく人たちから思ってもらえるのなら。」おじいちゃんはあのとき決心したことを、ずっと貫いてきたんだね。 「すくせ、すくせ」とくしゃみした湊。そのかよわくて、たよりなくて、きれいな声は、恵ちゃんの澄んだ声と似ているのかもしれないね。2025/09/29




