内容説明
“なんでも屋”の日々を綴る静謐な時代小説
江戸時代の総務部総務課とも言える藩邸差配役・里村が、藩邸内の厄介事から政争に至るまで、あらゆる問題を見事に解決する『藩邸差配役日日控』シリーズ2作目です。
里村五郎兵衛は神宮寺藩の江戸藩邸内の揉め事の差配役。“なんでも屋”と揶揄されるほど、揉め事や雑事が大小問わず持ち込まれますが、「誰もやらぬ…いや、できぬお役」を果たすために次女・澪の隠された出自や神宮寺藩の派閥争いを心にしまい、日々の務めに精を出します。
『星月夜』でも、家老の無骨な懐刀と御用絵師の関わりや、澪が小太刀の稽古をつけている奥女中が抱える思いなど、悩みや騒動が巻き起こります。そして、家族が巻き込まれた収賄事件の真相が明らかに…。
人が暮らす中で生まれる思いに誠実に向き合う、五郎兵衛の差配が垣間見える全6編の連作短編集です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
パトラッシュ
121
江戸藩邸が舞台の総務課物語第二弾だが、藩上層部の政争が描かれた前作に比べ、今回は差配役(総務課長)が藩邸内の平穏を守るため心を砕く姿が中心となる。狭い場所で同じ顔を突き合わせて仕事や立場の変化もないため、否応なく人間関係のもつれや鬱屈から起こるゴタゴタを「なかったことにする」立場だ。一見、地味でつまらぬ役目だが、面目第一の武家社会にあって主家の評判を守るには重厚かつ細心な人物が求められる。そんな職務に精励する男が、唯一の傷である娘婿の切腹に新事実を見つける表題作は仕事と父親の立場の葛藤が清涼感をもたらす。2026/04/17
いつでも母さん
113
総務部総務課・・所謂なんでも屋の方々がいるから御社はまわっているのですよ!と心の声があふれちゃうシリーズの第二弾!日々のあれこれ、藩邸の皆の様子一つ一つを、決して派手さはない差配役・里村五郎兵衛が精を出す。連作短編六話。まだ二弾目なのに安心して読めるシリーズ。中でも表題作にもなっている最終話が好み。次も楽しみに待っている。2026/04/19
KAZOO
94
シリーズ1作目に引き続いての連作短編集です。6つの作品が収められていてどれも心に残るものです。前作が藩内の権力闘争的なj話があったのに引き換え今回は比較的おとなしい話ばかりです。しかしながら主人公のような人物がいることによって藩の平穏が保たれているということです。今でいえばほかの方も書かれていますが総務部的な役割です。山本周五郎と藤沢周平を思い出しました。まだ続くのでしょうね。2026/04/21
天の川
64
神宮寺藩シリーズの2冊目。表紙絵の如く、静謐な中に哀しみを漂わせて。七万石の小藩の差配役、里村五郎兵衛は中小企業の総務部長といった役回りか。屋根の修理、器の補充といった些細なお勤めに忙殺されつつも、想いを砕かれた若君の様子に心を痛め、胡乱な動きがあれば事が起こる前に動く。帯にある「なにも起こらないのは、起こらぬようにしているお人がいるから」という言葉にうなずける。収賄の嫌疑に抗議して自裁した娘の夫についての表題作が良い。酸いも甘いも噛分けて、それでも惑う五郎兵衛と朋輩とも言えぬ淡交の浪岡との関わりも♪2026/04/11
しゃが
39
武士の矜持が行く末を左右し、また、抗うことができない運命へとつながっていく…。武士という生き方の重さと理不尽さが浮かび上がっていた。が、安西は若者らしくどこか気楽に現実を捉え、規範に対しても距離を感じさせる存在として描かれる。一方、浪岡はその役目に忠実でもありながら、大人として柔軟さを持っている。武士という職分を離れて、親と娘、夫婦の情があり、悲喜があった。情景描写が美しさに人はすくわれる。2026/04/18
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