内容説明
ブッカー賞作家による傑作歴史小説! 『女たちの沈黙』続篇
トロイア滅亡後、女たちはギリシア軍の「戦利品」となった。息子を殺した男に仕える者、生贄として娘を差し出さねばならなかった者、望まぬ子を腹に抱える者……封じられてきた女たちの声が響き渡る。ブッカー賞作家が贈る『イリアス』語りなおし三部作第二弾
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
シリウスへ行きたい
74
図書館本、次の予約が入って、借出し期間が迫ってきた。どうしてもよみたいという本ではない。それでも、いったん読み出したら最後までという義務感。負けた側の高位の女性、当然、殺されるか戦利品になるか生きていけない。ある意味、当然だろう。男は殺されるか、捕虜となって奴隷になる。いまなら戦争犯罪人か、戦争する側もたいへんだ。戦争やる以上、勝たねばならない。無意味に兵士をしに向かわせてはならない。アメリカによるイラン攻撃、救出に膨大な労力を費やす、アメリカ軍の姿勢はすばらしい。1人を助けるために何百人もが危険を冒す。2026/04/11
ヘラジカ
46
現代的なフェミニスト文学として強力無比の作品であるのみならず、ギリシャ神話を再話・再構築した文学のなかでも最高峰に位置する快作。壮大な神話において”端役”である人物を、忘れられない主役へと押し上げたという点においてはマデリン・ミラーの傑作『キルケ』にも匹敵する。そしてこの作品の肝は、英雄たちによって奴隷にされ、戦利品にされて虐げられる女性たちを描いている「だけではない」ことにもある。男性性によって苦しめられる被害者は、当の男性たちであるという、現在にも通じる”呪い”をも巧みに描いている。素晴らしかった。2026/03/20
松本直哉
22
木馬の入城に始まるトロイア戦争の最終局面はもはやアキレウスもヘクトルも欠き、いわばただの消化試合で、血に飢えた殺戮と凌辱のほかは何もない。英雄の息子ピュロスは偉大な父に比べれば器の小ささは覆うべくもなく、老王プリアモスの殺害にさえ手間取ってしまう。戦い終えていざ帰郷となっても、それを阻むような不気味な強風が吹き荒ぶ。しかしここでの主役はトロイの女たち。エウリピデスがいわば塊として彼女らを描くのに対し、ここでは微細に丁寧に一人一人の嘆きと悲しみと恨みが紡がれ、燃えるトロイの城への彼女らの視線に万感がこもる2026/05/02
信兵衛
15
トロイアの女たち、ブリアモスの王妃だったヘカベ、その娘カッサンドラ、息子ヘクトルの妻だったアンドロマケ等々、ギリシア諸将たちの戦利品とされた女たちの在り様が様々に描き出されていますが、その中でも特に鮮烈なのは若い娘アミーナ。 社会を支配する男たちに対する女たちの抵抗は、こんな昔から始まっていたのかという感慨を覚えます。 女性たちの闘いを圧倒的に描き出した歴史小説の第2巻、読み応えは前巻に劣らず。2026/05/31
rinakko
6
素晴らしかった。冒頭の場面がいきなりトロイの木馬の腹の中wで、さぞや逞しかろう男たちの鮨詰め状態の息苦しさはこの先の展開を示唆するようだ。男たちの、英雄たらんとする行動原理の苦しさを。一方女たちは、誰かの戦利品でありつつ其々のやり方で誇りを失わないように必死に生きる。王妃から奴隷の身になり敵アキレウスの子を宿したブリセイス、運命に抗うアミーナ、王妃ヘカベや王女カッサンドラ、アンドロマケ、誰にも好かれない(無理もないw)世界一の美女ヘレネも。(で、“オデュッセウスが真っ先に発った。”ですよ。オデュッセウスw2026/04/03




