内容説明
文章を読むと、作家の内面を体感できる共感覚を持つ女はある時、吐くほどにおぞましい内面世界を持ったΩという作家を見つける。Ωの驚愕の正体とは。(スコッパ―の女)
著者が知り合った奇妙な作家L。彼は物事の終焉までの距離を【深さ】として観測できるらしい。ある日Lは鏡に映った自分に【深さ】が全くないことを知る……。(終焉を告げる小説家)
自分が生み出した天峰翔陽というキャラクター。同名の人物が現実にいることが分かり、やがて物語と現実がシンクロし始める。(シンクロニシティ) 他2編。
小説家に纏わる身の毛もよだつ戦慄の短編集。
「この本に収録されている作品は、私が収集した出版関係者の奇妙なエピソードを、小説の形式に書き直したものである。
中には現在も活躍中の小説家が登場する。もしかしたら、あなたの尊敬する大好きな作家こそ、この本に登場する破滅的な小説家その人かもしれない。」 山白朝子
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
buchipanda3
92
小説家にまつわる奇譚集。前書きの口上からしてサラリとしながら不穏な雰囲気を醸し出していて良い。どの話も案内役(著者)に導かれ、語り役が切々と自ら体験した世にも不可思議な出来事を訴え掛ける。最初は何事かと聞いていると、その先に待ち受けていたのは小説家の業、そして小説の底知れなさ。小説は人間という肉体と魂の両面の影法師。それに支配された者が最後に放つ魂が創作世界から現実へ一気に引き摺り戻すオチにハッとなった。小説がもたらす情念は罪かそれとも…。偏執の青軸卿が好い味。私はキーボードはリアルフォースの打鍵が好み。2026/04/23
たいぱぱ
73
山白朝子名義では3年半ぶりの新作は、前作同様の「小説家シリーズ」。小説家である作者自身が見聞きした出版関係者(小説家含む)の奇妙なエピソードを小説化した…という体の5編のホラー短編集。文章を含めて物事の深さが視える為にその人の寿命まで視える人や、優れた共感覚を備えており文章からその人の人間性まで察知してしまう人など異能な登場人物たちが面白い。その異能を仕掛けに使い、我々読者を最後にゾワっとさせてくれる作品群でした。ただひとつ他の4編とは明らかに空気感が違うホラーではない「青軸卿」が何故か心に残る不思議。2026/04/13
itica
71
スランプに陥ったある作家が、同業者の奇妙なエピソードを小説風にしたためた5編、と言う構成らしい。そのエピソードが怖い気味悪い救いがない、などなど独特のオーラを放っている。自分の脳内から作品を生み出す仕事は大変だなあとつくづく思う。そんな中でまともな人だった?「青軸卿」の印象が良かった。青軸やスコッパーの意味を初めて知った。 2026/04/22
オフィーリア
55
小説家をテーマにした不思議でダークな短編集。どの作品にも創作の業と狂気が盛り込まれていてかなり粒揃い。中でもキーボードの打鍵音が大きすぎて周囲の自然環境すら変えてしまう小説家を描いた「青軸卿」が白眉で、ぶっ飛んだ着想ながらそのイカれた偏愛ぶりがたまらなく素敵。2026/03/31
さっちゃん
50
人や物の終焉を観測できる青年小説家「終焉を告げる小説家」、これと見込んだ生徒のために小説講座の講師は「小説講師の憂鬱」、書いた小説が現実を侵食する「シンクロニシティ」、キーボードを愛し、打鍵音が異常に大きい作家「青軸卿」、作者の内面を感じ取れる能力を持つ女性が追い求めたネット作家の正体「スコッパーの女」の5編。/山白朝子名義による小説家奇譚で「世にも不思議な〜」系の物語。どれもレベルが高くラストの落とし方も好み。マイベストは表題作。十角館のような衝撃の一行の余韻が素晴らしい。決して後ろから読まないように。2026/04/18




