内容説明
80sの頽廃に彩られ、
饒舌な語りがたどりつく病みの奥。
私小説に擬態した
恐るべき畢生の代表作。
この語り手、信じていいのか?
『レス・ザン・ゼロ』の頽廃と、『アメリカン・サイコ』の冷血。
恐ろしい出来事が、ついに起きる。
突如転入してきた美少年ロバート。彼は何かを隠している。彼にはきっと忌まわしい秘密がある。彼こそが〈曳き網使い〉という殺人鬼なのではないか? そんな疑念が僕にとり憑いて離れない。それなのにロバートは、僕の友人たちにどんどん近づいてゆく。やがて僕のセフレだったマットが姿を消し、〈曳き網使い〉に殺された無残な姿で発見される。
パーティー、ドラッグ、ハリウッドの頽廃。夜の闇に蠢く影。恐怖に満ちた録音テープ。音楽、文学、映画。薄っぺらくも快楽的な80sの空気のなかから、恐ろしい出来事がうっそりと頭をもたげはじめる――
語りは徐々に変調し、転轍し、後戻りのできない闇=病みへと滑り込んでゆく。
ブレット・イーストン・エリスにしか書けない冷たい不安に満ちた、畢生の代表作。
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