内容説明
1918年、フランス北部。ニューヨーク公共図書館(NYPL)の司書ジェシーは、前線からわずか65キロメートルに位置するブレランクール村に到着した。〈荒廃したフランスのためのアメリカ委員会(CARD)〉のメンバーとして、ドイツ軍との戦いで破壊された図書館の再建を目指すためだ。ジェシーは傷ついた住民に本を届け、兵士に戦地での慰めとなる一冊を紹介し、子どもたちに読み聞かせをおこなっていく。だがドイツ軍が村に迫ってきて……。1987年、アメリカ。ニューヨーク公共図書館の記憶保管課(リメンバランス)で、収蔵されている資料を保存用に撮影する仕事をしているウェンディーは、1918年に発表された〈荒廃したフランスのためのアメリカ委員会〉の会報に興味を惹かれる。第一次世界大戦中、有志の女性たちが集まって、フランス北部再建のために働いたという団体――。そして戦地に渡ったジェシー・カーソンという司書の存在を知り、彼女について調べはじめるが……。『あの図書館の彼女たち』の著者が贈る傑作長編!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
ゆのん
46
舞台は第一次世界大戦下。破壊された村へ1人の女性司書が図書館再建の為に戦地へ赴く。戦地で必要な衣食住や、医療が優先されるが、愛する人や生活を突然奪われた人達を本当の意味で生かすには本が絶対に必要だと強く信じ、自身の生活や悲しみ、辛さを顧みず戦地で奮闘する司書に心が震える。作品を通して戦争の恐ろしさは元より、本当に本って素晴らしい、本を好きで良かったと強く、強く思った。戦争に加え、女性の地位も確立されていない中でも、こういった先人達によって私は今も好きな本を読めるのかと思うと涙が溢れてくる。素晴らしい作品。2026/01/04
灰音
8
戦火の中に暮らす子供たちに ひとときの夢や安らぎを本を通すことで与える そんな図書館司書の奮闘と、戦時下で失ったことを悲しむ人々の心情とが溶け合う 本を読めることの幸せを再確認できた 物語を書くという設定が物語の中にあるので 読み手が第3者の登場人物のようでおもしろかった 実在する方たちということは最後までわからなかった 翻訳ものが苦手でもスルスルと読めました2025/12/17
BECHA☆
6
1987年 NYPL(ニューヨーク公共図書館)に勤めながら作家を目指すウェンディは、図書館の資料からNYPLの図書館司書ジェシー(キット)の名前と出会う。キットは第一次世界大戦中にCARD<荒廃したフランスのためのアメリカ委員会>のメンバーとしてNYPLから出向しフランスに渡っていた。キットの生い立ちとフランスでの様々な体験にウェンディの夜明け前の日々が差し込まれる。史実を元に描かれた物語。(プルーフ版先読みキャンペーンに当選)2025/12/31
金吾庄左ェ門
5
第1次世界大戦中のフランスに派遣されたジェシー達。女性の社会進出や教育にまだまだ否定的な空気が強い中、彼女たちが即席で図書館を開き、絶望の中にいる人々や負傷兵を支援する活動をしていました。それを資料の中から見出したウェンディーは、彼女達の活動に迫る事で一つの作品を書き上げるだけでなく、その功績を伝える事に力を注ぎます。2026/01/17
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