内容説明
1918年、フランス北部。ニューヨーク公共図書館(NYPL)の司書ジェシーは、前線からわずか65キロメートルに位置するブレランクール村に到着した。〈荒廃したフランスのためのアメリカ委員会(CARD)〉のメンバーとして、ドイツ軍との戦いで破壊された図書館の再建を目指すためだ。ジェシーは傷ついた住民に本を届け、兵士に戦地での慰めとなる一冊を紹介し、子どもたちに読み聞かせをおこなっていく。だがドイツ軍が村に迫ってきて……。1987年、アメリカ。ニューヨーク公共図書館の記憶保管課(リメンバランス)で、収蔵されている資料を保存用に撮影する仕事をしているウェンディーは、1918年に発表された〈荒廃したフランスのためのアメリカ委員会〉の会報に興味を惹かれる。第一次世界大戦中、有志の女性たちが集まって、フランス北部再建のために働いたという団体――。そして戦地に渡ったジェシー・カーソンという司書の存在を知り、彼女について調べはじめるが……。『あの図書館の彼女たち』の著者が贈る傑作長編!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
はる
55
1918年のフランス。ドイツ軍によって破壊された図書館再建のために奮闘する女性たちの物語。前作「あの図書館の彼女たち」も良かったが、こちらも力作。史実をもとにした物語というのもアツい。魅力的な登場人物が多いが、なかでも溌剌とした少女マルセルがいい。表紙の絵は前作と同じ萩原美里さんなのも嬉しい。2026/03/27
ゆのん
53
舞台は第一次世界大戦下。破壊された村へ1人の女性司書が図書館再建の為に戦地へ赴く。戦地で必要な衣食住や、医療が優先されるが、愛する人や生活を突然奪われた人達を本当の意味で生かすには本が絶対に必要だと強く信じ、自身の生活や悲しみ、辛さを顧みず戦地で奮闘する司書に心が震える。作品を通して戦争の恐ろしさは元より、本当に本って素晴らしい、本を好きで良かったと強く、強く思った。戦争に加え、女性の地位も確立されていない中でも、こういった先人達によって私は今も好きな本を読めるのかと思うと涙が溢れてくる。素晴らしい作品。2026/01/04
さぜん
51
第一次世界大戦中、ニューヨーク公共図書館司書ジェシーはフランス北部の戦場に図書館再建を目指し派遣された。1918年の彼女達の奮闘を1987年に生きるウエンディが物語として描く。フランスの激しい戦闘の中、家族を失い絶望の中にいる人達を本の力で支え救おうとするジェシー。子供達に物語を読み聞かせ、誰もが本を手に取れる開架式を導入する。史実を基にした彼女の生涯は「読書の力」を信じている私には胸に響くものがある。あとがきの「図書館は民主主義の基礎だ」にも共感。文化と自由が平和を作るのだ。2026/02/14
金吾庄左ェ門
20
第1次世界大戦中のフランスに派遣されたジェシー達。女性の社会進出や教育にまだまだ否定的な空気が強い中、彼女たちが即席で図書館を開き、絶望の中にいる人々や負傷兵を支援する活動をしていました。それを資料の中から見出したウェンディーは、彼女達の活動に迫る事で一つの作品を書き上げるだけでなく、その功績を伝える事に力を注ぎます。2026/01/17
土筆
19
とても良い本。第一次大戦終盤、アン・マリー・ダイクとアン・モルガンはアメリカでCARDという団体を立ち上げ、沢山の女性達がフランス北部の激戦地復興の為に様々に働いた。ニューヨーク図書館の司書ジェシーも1918年に渡仏し危険区域周辺で子供たちに読み聞かせを始め、図書館再建に向けて動く。砲弾が飛び交い、家族や知人ら沢山のひとを亡くし絶望の中にいる時、本の力は凄いと思う。絶望に浸る時間を短く薄くしてくれるから。ジェシーを含め痛みを抱えつつも前を向いて進もうとする女性たちの姿に頭が下がる。2026/03/13




