内容説明
異様な熱狂が、世界を包み込む。
緊急事態宣言下で仕事を失った佐野勇志は、なけなしの金も寸尺詐欺にあい絶望の淵にあった。三枝美来は金を貸したきり連絡を絶ったライブ仲間・ルカに苛立ちを募らせる。コロナ禍で身動きもままならない彼らがネットで出会ったのが、〈Q〉のミュージックビデオだ。謎めいた魅力に心酔した人々は〈アンサーズ〉というグループを組織し始める。
キュウを〈Q〉と名付け売り出したのは、彼に惚れ込んだ百瀬だった。閉塞する世界を覚醒させるカリスマとすべくロクや健幹が彼を支える。Qの常識を超えた映像表現は、SNSを通じ世界に拡散。そしてかつてない大規模ゲリラライブの企画が始動した。だが機を同じくしてQへの殺害予告が届く。
キュウと決別したハチは清掃員の静かな生活に戻っていた。そこへアンサーズのメンバーが現れる。キュウの過去についての不穏な噂、さらに殺害予告を知ったハチは、葛藤を抱きながらもゲリラライブ――「暗夜行路」を目指しアウディを走らせるのだった。
全世界を熱狂させるカリスマ、それを利用する政治家、子らを支配する父、ただキュウを愛する人々。さまざまな思惑が渦巻き、物語はクライマックスを迎える。
※この作品は過去に単行本として配信されていた『Q』 の文庫版となります。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
よっち
24
コロナ禍でままならない人々がネットで出会ったQのミュージックビデオ。謎めいた魅力に心酔した人々がアンサーズというグループを組織し始める下巻。百瀬が惚れ込み売り出したQをコロナに閉塞感を感じていた人々が支え、常識を超えた映像表現がSNSを通じて世界に拡散し、かつてない大規模ゲリラライブ企画が動き出すストーリーで、一方、清掃員としての生活を死守しようとしたハチが殺害予告を知り、再び暗夜行路へと疾走して家族を守るため暴走する熱い展開もあって、大切なものを守りたいという彼の葛藤と決断がもたらした結末は圧巻でした。2025/12/06
nami1022
10
すごい熱量を見せられました。大作です。ハチの人間臭さが、ロクとキュウの常人には理解し得ない狂気と一線を画していて、3人ともぶっ飛んでいるのにハチがすごくまともに感じてしまう。もっとどうしようもない破滅的なバッドエンドに向かう気がしていましたが、こういう結末の方が腑に落ちる感じもします。ラストシーンは結構好きです。 掌編のアユムとキュウの邂逅は残酷で切なく涙が落ちそうになりました。2026/01/10
タッキー
9
下巻の第二部は、最初は上巻からの様相が一変。まず、ハチが出てこない。視点がロクの夫の健幹視点が中心で、この時点でハチはどうなったのかがすごく気になりました。そしてQに魅せられ、人生が一変した健幹。一方で、普通の生活を望むハチ。最後の終わり方はどうなるんだろうと思って読んでいましたが、最後は少し拍子抜けしたかなあ。ロクはどうなったのかとか、みんなのその後が知りたかった。2026/01/24
俊
6
⭐️⭐️⭐️⭐️⭐︎ ストーリー展開は最高だった 上巻の熱量を考えるともっともっとバイオレンスで良かったと思う2025/12/12
烏龍茶
4
プラトン哲学のエロースを思い出した。登場人物全員、美のイデアに感染していると思った。皆、それを体現するQの虜だった。エロースの不条理さが強く感じられる小説だった。エロースに対して哲学的な解釈によって理性の側面からアプローチしても、いずれは抗いようのない愛と美の衝動に飲み込まれてしまう。渇望し苦しみ、頭では壊れている、やめた方がいいと理解できているのに、それを求めさせられてしまう。そういうエロースの不条理さが物語の中にあった。また、上巻の伏線は曖昧なまま回収され、ラスボス的な重和もラストはまあまあ悲惨な目→2026/02/19




