内容説明
第39回太宰治賞受賞『自分以外全員他人』、「本の雑誌年間ベストテン」第3位『孤独への道は愛で敷き詰められている』に続く<柳田譲>サーガ三作目! 報われぬ中年男性の魂の彷徨を描く 恋愛に絶望し、仕事にも倦み、家族はいよいよ疎ましく、ささやかなセルフケアも世間が容赦なく水を差してくる――。すべての苦しみから逃れて「無」になることを求め赴いた怪しげな座禅道場で柳田譲が見たものは!?
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
バネ
62
久々に大笑いした!この主人公の柳田という男にSYMPATHYを感ぢずにはいられなかった。彼は常にNEGATIVEでCYNICALな考えで世界を見ている訳だが(そして、ソレは正論だったりする)、もしかするとコレは私やあなたではないだろうか?私も通勤時や運転時、常識無い輩に対して発生するイラつきを治めようとメタ認知に努めているが、なかなか改善出来ない自分がいる。。所詮人間なんて付け焼き刃で変わるコトなんて出来ない生き物なのではないか?たかが10日間の瞑想合宿で「悟った」気になっている女性福村が、哀れでならない2025/12/24
桜もち 太郎
16
人生をこじらせている男・柳田シリーズ三作品目。「私はもう限界だった。これ以上社会で生きるのは困難だった。はじめから向いてなかったのだ」とネガティブな柳田。天国に行けるボタンがあったら間違いなく押すという希死念慮もある。付き合っていた女性である夕子からは「天国なんて無い。だから死んだら何もなくなる」といわれる。死んだら無になるのだ。読み手である自分もそう考える。すがる思いで瞑想合宿に参加し悟りを得ようとする柳田。親鸞さえも悟りを得ることはなかった。太宰は「恋と革命のために生まれてきた」という。→2025/12/24
ズー
16
読み始めは、物事を悲観的に見るタイプだけど、まぁちょっと変わったタイプで面白い人だなぁと思ったけど、読み進めるごとにどんどん泥沼に沈んでいくような。どんどん重苦しく暗い感じになっていって、こちらも負の世界に引きづり込まれるような。しばらくずっとエッセイと思って読んでいたが、違うのね?違ったのよね?ホッ…一安心。でもちょっと主人公に近いところ私にもあるなと思った。この手の感じの作品は初めてだったのでちょっと驚いた。最後のへんは結局宗教とかに行ってしまう人の総決算って感じもした。2025/12/23
age58
9
何故?この本を読み始めたのかな?読みやすく文章はわかる。主人公にも共感する所も共感出来ない所もある。ムニエルもわかる。最後の女性の一文が。主人公の思い込みはこの女性の恐怖だった?上手く生きていきたいぜ。2025/12/23
まろん
8
タイトルの暗さや深刻さよりもユーモアが伝わってきた。 救う笑いではないけれど、笑うしかない社会の現実みたい。真面目さ、正しさで人を傷つけないように生きようとしたことで人の心に触れることができなくなり孤独になるような、、読了後にざらついた感覚が残る。2025/12/08




