内容説明
北イタリアの修道院を訪れた、バスカヴィルのウィリアム修道士と見習修道士アドソ。ウィリアムは院長から、数日前に起きた、細密画家であった修道士の死について調べるよう依頼された。それは事故ではなく殺人であった。しかも修道士の不審死はさらに続き、「ヨハネの黙示録」の記述に沿うように起きていく。そしてすべての鍵は、迷宮構造を持つ文書館に隠されているらしい……。巻末には、エーコ自身による覚書(本編刊行後1983年に発表されたもの)、執筆のために書き溜めたメモや、登場人物や建造物のデッサン等も併録した。全体を通して、故河島英昭氏に代わって(覚書については英昭氏の準備訳稿が存在した)、河島思朗氏が訳文全体を見直し(特にラテン語関連は精査)、作者による訂正、削除についても細部にわたって確認した。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
Shun
30
作中に登場する文献と中世の宗教対立の歴史、それらの情報が洪水のように押し寄せ、頭は常にフル稼働しているような読書体験。全体を見れば修道院で起きた連続殺人の謎を追う来訪者・バスカヴィルのウィリアムと、彼を師と仰ぐ見習い修道士・アドソという推理小説ではおなじみの探偵・助手形式のミステリですが、それにしても語られる要素の多いこと。”小説の世界へ入り込むのは山登りをするのに似ている”と著者は語る。歩調を守り、息遣いを整える必要があると。そうして入り込んだ小説の世界で、中世の秘蔵された書物を巡る事件を追体験する。2026/01/11
rinakko
13
頗る面白かった。大満足。中世イタリアの閉ざされた僧院で、若き見習修道士が遭遇した連続殺人事件と、その顛末を描く七日間の物語でありアンチミステリ作品。アリストテレス再発見後の中世の覚醒時、キリスト教会で何が起こっていたのか。厖大な禁断の“知”を死蔵した異形の建物のもと、開かれた“知”への欲望が蠢きその書物の封印は解かれる。物事を逆転させることで真理を暴く“笑い”と、人間を蒙昧の闇に留めおこうとする権力について。そして異端とは何か…。様々な知的要素が絡みあい、図書館の迷路の奥へと誘う。幻惑され、引き込まれた。2026/01/08
ettyan えっちゃん
12
下巻に入り、いよいよ推理小説になる。 ヨハネの黙示録になぞらえた見立て殺人。 迷宮と化した文書館をさまよう。 「アフリカの果て」が隠されている書架。 犯人との対峙とカタストロフィーと 読んでみると、面白い推理小説だったかなと。 とりあえず、読み終えたことにほっとして、作者の改題を読み、登場人物のイラストにニヤニヤさせられ、なんとも楽しい。2026/01/12
カケル
4
旧版初読時は先に観た映画の印象が強すぎて上手く入り込めなかったけど、歳を経て場数を踏んだおかげか、観念の大伽藍を楽しませて頂いた。本篇後に著者(探偵=犯人)によって作品(犯罪)の解説(謎解き)が嬉々として行われます(ちょっとくどいけどw)。2026/01/08




