内容説明
「私たちが実際に行っていること」とは何か――。 労働(labor)、仕事(work)、活動(action)という三つの行為様式によって人間の条件を考察した著者の代表作にして、20世紀の古典を達意の新訳でおくる。古代から現代に至るまで、それぞれの行為様式がどのように発展し、互いに関係してきたかを西欧思想史への豊かで卓抜な目配りとともに分析。科学やテクノロジーによる経験の変容と政治的思考の救済という本書が追求したテーマは、今やいっそうの緊急性を増し、新たな思想と討議を喚起してやまない。 原書第2版(2018年)に基づき、ダニエル・アレン(ハーヴァード大学教授)の序文とマーガレット・カノヴァン(キール大学名誉教授)のイントロダクションを付した決定版。
目次
序文(二〇一八年) ダニエル・アレン/イントロダクション マーガレット・カノヴァン/プロローグ/第一章 人間の条件/1 〈活動的生活〉と人間の条件/2 〈活動的生活〉という用語/3 永遠vs.不死性/第二章 公的領域と私的領域/4 人間──社会的または政治的動物/5 ポリスと家政/6 社会的なものの勃興/7 公的領域──共通のもの/8 私的領域──財産/9 社会的なものと私的なもの/10 人間の行為の場所/第三章 労働/11 「われらの身体の労働とわれらの手の仕事」/12 世界の物的性格/13 労働と生命/14 労働と繁殖力/15 財産の私的性格と富/16 仕事の道具と分業/17 消費者社会/第四章 仕事/18 世界の耐久性/19 物化/20 道具性と〈労働する動物〉/21 道具性と〈工作人〉/22 交換市場/23 世界の永続性と芸術作品/第五章 活動/24 言論と活動における行為主体の開示/25 関係の網の目と演じられる物語/26 人間事象のこわれやすさ/27 ギリシア的解決/28 権力と現れの空間/29 〈工作人〉と現れの空間/30 労働運動/31 活動の伝統的な代替物としての作製/32 活動のプロセス的性格/33 不可逆性と赦す力/34 予測不可能性と約束の力/第六章 〈活動的生活〉と近代/35 世界疎外/36 アルキメデスの点の発見/37 宇宙科学vs.自然科学/38 デカルト的懐疑の勃興/39 内省と共通感覚の喪失/40 思想と近代的世界観/41 観照と活動の転倒/42 〈活動的生活〉内部での転倒と〈工作人〉の勝利/43 〈工作人〉の敗北と幸福の原理/44 最高善としての生命/45 〈労働する動物〉の勝利/謝辞/訳者解説/訳者あとがき/事項索引/人名索引




