内容説明
11月に著者来日! 『わたしに無害な人』のチェ・ウニョンが贈る珠玉の短篇集
友達との心の距離に揺れる10代特有の感情(「無理して頑張らなくても」)。大人たちの理不尽や偏見に気づいてしまった幼い日の痛み(「良き時代」)。まっすぐに生きる他者に感じる劣等感(「デビー・チェン」)。誰もが知るほろ苦い感情を掬いあげた珠玉の十四篇
目次
ウニョン チェ
フルカワ アヤコ
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
lisa
14
タイトルに惹かれて購入した本。人生とは小さな出来事と様々な感情の積み重ねで構築されている。私にも、あなたにも、いつか経験したことのある想いがそこかしこに散りばめられているような作品だった。ひとつひとつのお話は決して長くはないけれど、静かに、そしてしっかりと佇んでいた。良き時代、一時預かりボランティア日記、にぐっときた。2025/11/23
kibita
13
優しさと繊細さを持ちながら社会の痛みに鋭く切り込む強い芯を持つ作家だと感じる。『一時預かりボランティア日記』、私も喪失より孤独でいいと思っている。我が猫を愛するが故にいつか必ず来る別れの苦しみに怯えているから。彼女が最後だ。まさに『私たちが学べないもの』のリストそのもの。「良き時代」では子どもに忖度を強いた親と隣人の無神経という暴力を鋭く指摘していて読むのも辛い。韓国の女性作家達は、社会構造に根差した鋭い感情を呼び起こし深い共感を共有させる力を持っていると思う。これは日本の女性作家からは感じないものだ。2025/11/26
オレンジ猫
6
韓国ドラマを観てると感じる、個性の無寛容、社会の閉塞感と過去への執着と人間関係が満載だった。過ぎた事への執着が強い。14編からなる短編集だか似たようなテーマ。"夕暮れの散歩"は良かった。2025/12/17
GO-FEET
5
「韓国社会は弱くて気の毒な存在を保護できずに追いつめる。ペットショップで安易に動物を買っては捨てるし、子どもに対する差別もノーキッズゾーン(飲食店や施設で子どもや乳幼児の入店を断る際の用語。高齢者の入店を断るノーシニアゾーンなどもあり、韓国社会で論争となっている。)などに顕著に現れている。寛大になれない大人たちの生きる国だと感じるが、こうした社会を告発するのではなく、他者について考え、自身をふり返るという楽しさを提供するのが小説の役割だと思う」(「訳者あとがき」より著者の言葉の引用)2025/12/25
takenoko
1
なかなか言語化できない屈折した思いが、文字で表現されていて、はっとさせられる。これは自分のことを言ってるのかなって。身近で大切にしなければいけないはずの人なのに、無関心になってしまう。あえて意地悪なことを言ってしまう。屈折した思いを少しでも修正したいなあ。2025/12/13




