内容説明
東京・上野の片隅にある、あまり流行っていない「カフェー西行」。食堂や喫茶も兼ねた近隣住民の憩いの場には、客をもてなす個性豊かな女給がいた。竹久夢二風の化粧で注目を集めるタイ子、小説修業が上手くいかず焦るセイ、嘘つきだが面倒見のいい美登里を、大胆な嘘で驚かせる年上の新米・園子。彼女たちは「西行」で朗らかに働き、それぞれの道を見つけて去って行ったが……。大正から昭和にかけ、女給として働いた“百年前のわたしたちの物語”。/【目次】稲子のカフェー/嘘つき美登里/出戻りセイ/タイ子の昔/幾子のお土産
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
星群
81
初読み作家さん。大正から昭和にかけ、女給として働いた〝百年前のわたしたちの物語〟な短編集。まず一言、面白かったです。特に『嘘つき美登里』は、吹き出しました。こんなユニークな嘘なら悪くないかも。そして昭和初期が舞台なら、どうしても避けられない戦争の影。『出戻りセイ』は切なかった。カフェー西行、行ってみたいな。人の良い菊田さんが、独りじゃなくなってて安心した。2025/12/22
ゆみねこ
74
東京・上野の片隅にあるあまり流行らない「カフェー西行」。そこで働く女給たちの物語。竹下夢二風の化粧で人気ものになったタイ子にはある秘密が。小説家になるために女給になったセイ。嘘つきだが面倒見のいい美登利ともっと大胆に嘘をつく園子。彼女らが生きた大正から戦後の物語。第174回直木賞候補作。2025/12/11
チーママ
69
東京の下町にある「カフェー西行」を舞台に女給たちの日常を描いた連作短編集。子持ちだけど美しいタイ子、嘘つきだけど世話好きな美登里、高女出で話題が豊富なセイ。年齢も境遇も違う彼女たちはコックで店長の菊田が営むこの店で楽しく働いた後それぞれの道へ進んでいく。「出戻りセイ」は何ともせつない話だったが後で意外な答え合わせが…。タイ子と息子の豪一との手紙のやりとりを描いた「タイ子の昔」は母親としてのタイ子にシンパシーを感じて落涙。嶋津さんの描く女たちの世界が好きだ。女給の着る銘仙のような表紙もとても素敵だった。2025/12/09
えんちゃん
58
大正から戦後。ちょうど今から百年前くらい。カフェー西行で働く女性たちの連作短篇集。日常の可笑しみや戦時中の哀しみを、上品にちょっぴりコミカルに描いた、実に嶋津さんらしい物語だと思います。女が女に抱く感情って好き嫌いだけじゃないんですよ。好きだけどいらいらするとか、嫌いだけど幸せになって欲しいとか。そういう割り切れない感情に頷いたり愛おしくなったり。少しモダンで少し切なくて。装丁も含めてすてきな空気感を纏った物語でした。2025/12/23
ぼっちゃん
47
【第174回直木賞候補作】大正から昭和にかけて、流行らない「カフェー西行」で働く女給たちの人生の物語5編。女給の髪型、衣装を指導する理髪店員との恋愛を描いた「出戻りセイ」が印象に残った。2025/12/13




