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内容説明
中国と日本の歴史書ほか膨大な資料を援用し、琉球王国にまつわる伝承に絡めて壮大なスケールで書かれた『椿説弓張月』。第2巻は、伊豆大島を実質統治していた為朝が官軍に攻め込まれ、決死の戦で敗走。そして崇徳院の墓参りにと讃岐国へ赴いたところ、一人の旅人との不思議な縁から肥後国へ導かれ、そこで……。臨場感あふれる戦いの場と、登場人物それぞれの運命が絡み合う愁嘆場も読みごたえ十分な新訳。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
星落秋風五丈原
17
死んだとされても“実は生きていた”伝説が流布する。為朝も同様で、八丈島、さらに琉球(沖縄県)に渡ったという伝説が生まれる。冒頭は登場人物紹介である。為朝は史実では死んだとされたので、その身代わりになった鬼夜叉。為朝を愛した女性白縫と三郎長女。そして福禄寿。えっ福禄寿??美女に心を動かされず、博学。100歳を越えているのに、お肌ツヤツヤで童顔。いいね!おや頭が体の半分?でか!まっすぐ歩けるのか。でかいヤマネコまで出てきたぞ。灰色毛で短足、120センチの体長。さすが南国。なんでもよく育つ。そんな問題じゃない。2025/09/20
春風
7
本巻では『弓張月後編』が収録される。しかしながら騙されてはいけない。終わらない。まだ拾遺や残編が残っているらしい。前編では保元の乱前後を只管に陽性に描いていて愉快痛快といった趣であったが、後編では馬琴の筆が踊って悲喜交々の展開が繰り広げられる。画工北斎の筆もまた踊る。よく見知ったあの繊細な線と大胆な構図の絵が花を添える。馬琴、北斎共に適応力の高さと早さとに驚かされる。さて物語であるが、主として伊豆大島に遠流となった後の為朝の大活躍が虚実織り交ぜて展開される。そして物語は、史実では為朝が没したその先へ。2025/09/08