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内容説明
一五年戦争下,途切れることなく刊行された婦人雑誌の料理記事は,銃後の暮らしをリアルに伝える.配給食材の工夫レシピから防空壕での携帯食まで,人々が極限状況でも手放さなかった食生活の知恵から見えてくるものとは? 再現料理もカラーで紹介.「食」を通して「戦争」を考えるための「読めて使える」ガイドブック!
目次
カラー口絵・戦下の暮らし
はじめに
凡例
1 昭和のモダンな食文化(戦前のレシピ)
農村の食と都市の食
婦人雑誌と家庭の料理
2 総力戦は節米から(日中戦争下のレシピ)
料理にも大東亜共栄圏の影
節米料理ってなんだ
官民あげての節米ブーム
なぜ米が足りなかったのか
栄養基準という皮肉
3 お台所の戦闘配置(太平洋戦争下のレシピ)
配給時代の食生活戦争
たんぱく源を結集させろ
食糧戦を勝ち抜こう
米とうどんのアクロバット
トントントンカラリと共同炊事
4 壮絶な決戦非常食(空襲下のレシピ)
戦争末期はサバイバル
いもとかぼちゃの下克上
こんなものまで食べていた!
こんろも調味料も代用品
空襲警報が鳴ったら
5 戦争と食生活(焼け跡のレシピ)
戦下のレシピから見えるもの
なぜ戦争は食糧難を招くのか
あとがき
文庫版のための覚え書き――占領下のレシピ
(巻末資料)
図版出典一覧
この本に出てくる主な戦時用語
主な参考文献・引用文献
戦時食糧生活略年表
戦下のレシピ・素材別索引
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ネギっ子gen
58
【廃刊の嵐の中を生き残った数少ない婦人雑誌(『婦人之友』『主婦之友』『婦人倶楽部』)は、料理や食の工夫を説き続けた】太平洋戦争下の食事情を知るためのガイドブック。カラー含め写真多数。巻末に、図版出典一覧や参考文献、年表、索引。2002年にアクティブ新書で。2015年に、加筆訂正して本文庫に。「文庫版のための覚え書き」で、<「戦下のレシピ」の時代を俯瞰して思うのは、食糧難は生命を危機にさらすだけでなく文化破壊でもある、という事実である。主食と副食の区別をなくせ、栄養だけを考えろ、なんでも粉にして食せ>と。⇒2025/02/12
がらくたどん
53
ご紹介頂いた本。そういえば直近の日本の戦争はアメリカの対日石油輸出禁止策から始まったんだっけね。資源と食料の自給が難しい小国がそれらの国内および兵站としての地味で地道な供給計画を練る前に大義最優先で見込みで参戦するとどのくらいヤバいかを改めて痛感する一冊。「戦争とは寝不足で重労働で飯がない」すごく斉藤美奈子っぽいコピーに震える。そりゃあ死に急ぐよね。巻頭に戦時食の再現料理をカラー紹介。代用食・雑草食充実。で、裏表紙解説に「読めて使えるガイドブック!」の文字。なんというか、岩波のブラックな洒落が光る。秀作!2025/03/06
佐島楓
49
あまり悲壮感はない。それゆえに戦中から戦後にかけて忍び寄ってくる飢えの苦しみと、著者の当時の軍部への静かな怒りが際立っている。ずいぶん前から参考にしたくて復刊を待っていた本なので、文庫化はありがたかった。2015/11/23
たまきら
34
備忘録:読み友さんの感想を読んで。今年も公演が近づき、戦災資料センターにお邪魔したり、長年空襲について調べている仲間たちと話し合ったりする日々を送っています。この本を読んで正直ぞっとしたのは、愛情の押し売りというか、良妻賢母を声高に訴える姿です。集団圧力、食糧不足、空襲。様々なストレスに加えて「愛情たっぷりのごはん」。なんだかなあ…。2025/02/24
Nobuko Hashimoto
24
1940年代の婦人雑誌『婦人之友』『主婦之友』『婦人俱楽部』に載った料理のレシピを通して、戦争中の食の世界へ読者を誘います。ていねいな調査にもとづく実証にユーモアと鋭い批判を散りばめた、読みやすくも刺激的な一冊。関西ウーマン信子先生のおすすめの一冊で取り上げました。斎藤美奈子さんの本はどれもこれも面白くて、いつかどれかを紹介したいと温存していました。8月だからというわけではなく、おすすめ! https://www.kansai-woman.net/Review.php?id=2024672024/07/27