内容説明
泉鏡花文学賞受賞作。年寄り海女と水産学校卒の孫との異色海洋冒険小説。天皇海山列、春の七草海山、海底につきささる戦時の潜水艦。円熟した作家がユーモアのある名うての文体で挑む傑作長編。解説・綿矢りさ
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
りつこ
30
面白かった~。以前読んだ「飛族」と同じ系列になるのか? 85歳になった海女のミツルが語り手。この島では85歳になると倍暦といって年齢を倍に数える風習があり、それは大昔の天皇と同じらしい。 同じ海女仲間の婆たちと潜った海の海図を作ったり海関係の儀式に呼ばれたり地元の海に沈んだ潜水艦を探したり…。 婆たちは冒険心と好奇心とユーモアに満ちていてとても頼もしい。それは「飛族」と相通じる。彼女たちの目を通して見る戦争の生々しさは「国と国との尽きぬ喧嘩の途方もなさ」という言葉に集約されていると思った。読んで良かった。2025/08/26
suicidal_genes
0
マジックリアリズムは老人や子どもと相性が良い。自他の境界が曖昧だから。更にマジックリアリズムは海中との相性も良い。人にとってそこは異界だから。この作品に出会えてよかった。戦争体験者がいなくなってしまったら惨劇を回避するための鍵は人間の想像力だけだから。と思った。2025/07/10
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