内容説明
神出鬼没の災厄――
死神。
――彼が現れたからといって、よくないことが起きるわけではない。
よくないことが起きた場所に彼が現れるのだ。
飛行中の飛行機内で殺人事件が発生。
機内が混乱に陥る中、大型飛行怪獣が姿を現す。
無事に着陸できるのか?
怪獣省の予報班の岩戸正美は、エースとして活躍していたが、彼女をもってしても不可解な事件が発生することがある。そんな時に決まって姿を現す警察庁特別捜査室の船村秀治。船村に彼女は振り回されているが、彼の悪い予感はよく当たる。船村に頼まれ、岩戸が搭乗した飛行機の中で、飛行中に殺人事件が発生してしまう。閉鎖された空間での混乱の中、危惧していた飛行怪獣が姿を現してしまう。
別日にはロシアに現れた二種の怪獣が日本の方向に南下。うち一種が武器庫を襲い、核をのみ込んだという。その怪獣を特定するため、岩戸は船村と北海道に渡る。
また、七年前に山中の集落で放火殺人事件があった。犯人は捕らえられ、死刑が確定していたが、同時期に事件現場の北で小型怪獣が現れていたため、この事件も怪獣が引き起こしたもので冤罪が疑われた。執行まで限られた時間の中で、岩戸と船村は事件の解決に奔走する。
『名探偵コナン』『ウルトラマン』シリーズの脚本家・大倉崇裕による〈怪獣×本格ミステリ〉シリーズ第二弾!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
パトラッシュ
135
前作『殲滅特区の静寂』は怪獣との戦いが物語の中心だったが、続編の本書では怪獣省と他官庁との政治抗争が前面に出てくる。怪獣殲滅のめどが立ちつつある状況を見据えて怪獣省を押さえつけたり作戦を失敗させようと動くのだ。そんな上部の争いをよそに、岩戸予報官と船村捜査官の最強コンビは粛々と任務をこなしていく。結果として国交省、外務省、警察庁を叩きのめし、怪獣省は怪獣並みに権力を肥大化させていく。一方で怪獣殲滅をすべてに優先させたため、国民生活がすさみ歪んでいく有様も描かれる。特殊設定と社会派の融合が効果を上げている。2025/01/31
yukaring
89
これぞエンタメ、大好きなシリーズの第2弾。のっけから飛行怪獣の殲滅作戦にもうワクワク。怪獣大国の日本を守る怪獣省のエース予報官・岩戸正美。怪獣の動きを予想し作戦を立てるスペシャリストだが、怪獣を隠れ蓑にした事件や権力闘争になぜか巻き込まれてしまう。飛行機の中の殺人、核を飲み込んだ怪獣を特定する「赤か青か」7年前の放火殺人の謎。そしてそんな事件に必ず現れる警視庁特別捜査室の船村、別名死神。神出鬼没な彼と正美の凸凹コンビもすっかり板についた感じ。果たして本当に恐れるべきは敵は怪獣か、そこが問題。2025/02/06
nobby
82
いやはや完全に前作を、そして圧倒的に期待を超越してきた!怪獣登場にニヤリながら殲滅に導くまでの至近距離とか究極の選択など緊迫度が半端ない!!そうしていると、いつのまにかミステリしっかり堪能してる不思議(笑)さらに今度は国際問題や冤罪なんてテーマにまで踏み込むのがスゴ過ぎる...さすがにもう騙されない老年刑事のヒーローぶりはワクワク心地よい!いや、他にも聞き覚えのある人物を絡めるのも本当に上手い!!それにしても、倒される宿命の怪獣達の哀愁に比べて、ヒトたる存在による浅はか身勝手さは恐ろしくも愚劣極まる...2025/04/02
寂しがり屋の狼さん
73
『名探偵コナン』『ウルトラマン』シリーズの脚本家が綴る怪獣✕ミステリー(◕ᴗ◕✿)コチラは2作目なのですね。2025/03/30
雅
66
怪獣よりも人間のほうが怖いですね。SF要素よりもミステリーの要素が濃く出てました。2025/05/22