普天を我が手に 第一部

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普天を我が手に 第一部

  • 著者名:奥田英朗【著】
  • 価格 ¥2,552(本体¥2,320)
  • 講談社(2025/06発売)
  • ポイント 23pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784065388761

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内容説明

大正15年の年の瀬、12月25日の午前1時過ぎ、陸軍省軍務局の少佐・竹田耕三のもとに、待ちに待った男子が誕生した。志郎と名付けられた子供は、その後、親である耕三と共に満州事変の調査の密命のため、不穏な空気の立ち込める中国大陸へ渡る。 
 一方そのころ北陸・金沢では、侠客一家・矢野辰一が、敵対する一家に落とし前をつけるため、組長宅に乗り込んだ。帰宅した矢野が目にしたのは、預かっていた哀れな女工の出産と、母親の死だった。矢野は生まれてきた孤児を四郎と名付け、自分の手元で育てることにする。
 ところ変わって、東京神保町の出版社で進歩的な雑誌「群青」の編集者として働く森村タキは、社会運動家の夫との間に女の子を出産。イプセンの「人形の家」の主人公にあやかり、ノラと名付けたその子を、身勝手な夫と別れたあとシングルマザーとして育てていくことを決意する。
 さらに、中国は大連のジャズマン・五十嵐譲二は、ジャズ楽団の年越しパーティの最中に生まれた子供を満と名付け、満と共に、開戦後の中国大陸を転々としながら、なんとか興業を続けていく。
 大正天皇が崩御し、昭和天皇が即位した激動の瞬間に生まれた子供たちは、時代やそれぞれの親の影響を受けながら、政治、裏社会、婦人活動、興業と全く異なる世界で成長をし、数奇な出会いと別れを繰り返すなどしながら、戦争の時代から終戦を経て、高度経済成長期の昭和日本を精いっぱい生きていく。

 昭和100年、戦後80年に生まれる、壮大な昭和史サーガ三部作。第一部は、親世代の視点を中心に、大正天皇の崩御から太平洋戦争開戦までを描く。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

starbro

200
奥田 英朗は、新作をコンスタントに読んでいる作家です。本作は、昭和100年、戦後80年に生まれる、壮大な昭和史サーガ大河小説全三部作です。第一部は、大正天皇の崩御から太平洋戦争開戦まで、一気読みしました。続いて9月刊行の第二部へ。トータルの感想は、全巻読了後に。今年中に全巻完読出来れば、今年のBEST20間違いなしです。 https://www.kodansha.co.jp/book/products/00004093032025/07/02

パトラッシュ

176
エリート陸軍将校に金沢のヤクザの親分、女性編集者と大連のジャズ奏者。1週間しかなかった昭和元年に子を儲けた身分も立場も異なる4人が、相知らず激動の時代に身を投じる。いずれも戦争へ突き進む時代に流されず、それぞれの立場で明確な反抗から消極的協力まで必死に生きる姿は「智に働けば角が立つ。情に棹させば流される。意地を通せば窮屈だ」という漱石の言葉そのままだ。「束の間の命を、束の間でも住みよくせねばならぬ」と奮闘し、決して自分の生き方を後悔しない彼らの背中を見て育った子供たちが、次世代をどう生きていくかが楽しみ。2025/07/12

いつでも母さん

168
『昭和史サーガ三部作、開幕!』昭和元年は1週間だったことは誰もが知っている。その昭和元年に生まれた4人の男女の物語。まずは彼らの親世代が中心の第一部。時代は風雲急を告げる太平洋戦争までのあの頃が蒼い焔立つ感じだ。いや、それは今だから言える事か―4人の親たちのキャラが濃くてどんどん引き込まれ、もう第二部が楽しみでならない。緋色が焦げる時代をどう生き抜くのか、ちょっとだけ交差した関係が時代の転換期にどんな風に絡み合うのか、親たちの人生の仕舞い方も気になるところ。嗚呼、早く読みたい。2025/07/16

hiace9000

145
激動の時代を躍動の奥田筆致で綴る、「昭和」叙事詩。たったの7日しかなかった昭和元年に生を受けた境遇の全く異なる四人。世情のきな臭さがやがて戦争へと引火し燃え上がった昭和の初め。軍人、任侠者、左翼、楽団員を親に持つ、彼、彼女らの波乱の生涯を描く大河小説〈第一部〉六百頁。忠実かつ丹念に史実を炙りだし、その隙を数多くの登場人物らが闊達に動き、怒り、嘆き、そして成長する。後の主人公らの親世代の激闘が中心の本巻。読み手は渦巻く時代の怒涛に、彼らと共に吞み込まれ完全に没入する。昭和百年を総括する大作、怒涛の第二部へ!2025/08/13

buchipanda3

113
激動の時代、昭和を駆け抜けるように描いた群像劇。600頁近くもあるが、テンポ良いストーリー展開と滑らかな語り口に乗ってサクサク読めた。物語は昭和元年に4人の子が誕生する場面から始まる。その成長を見守りながら第一部は親世代が主軸に。将校、侠客、婦人雑誌編集者、興行師、立場や思想が違う者たちが信条を胸に不穏な空気が漂う昭和初期を生きる。描かれるのは誰が正義、不正義ではなく、各人の想いが歴史のうねりの前に否応なく押し流される姿。耕三の天がこの戦争を…の言葉が印象的。題名に込められた意味は。命運の行方は。次巻へ。2025/08/11

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