内容説明
「私の声を見つけて」伯母から届いた謎の遺言状。人付き合いが苦手な青年と声優探偵(!?)がその不可解な意図の解明に挑む! 幼い頃に母を亡くし、伯母の家で折り合いの悪い従妹と一緒に暮らしていたソータ。その伯母も亡くなってしまい、しばらくしてソータのもとに遺言状が届く。そこには、ソータが伯母の声を見つけなければ、ふたりの住む家を売却し、そのお金を寄付すると書かれていた。遺言の意図がわからないソータだったが、誰の声でも真似できるという声優の少女・栗原との出会いをきっかけに、声を再現してもらうべく、伯母の過去を調べ始める。果たして伯母の遺言状の言葉に秘められた想いとは。松本清張賞受賞、「横浜大戦争」シリーズが大ヒット中の著者が紡ぐ、ほろ苦くもあたたかい青春物語。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
さこぽん
26
松本清張賞受賞の作家さんだけど私には合わなかった。 「私の声をみつけて」という遺言の謎を声優・栗原が解く!のだったら、まだおもしろかったのに。 一変してわけわからん展開になって、そのついでに謎が解けたみたいな。 そもそもハクマイとかアズキ、ソータとかそんな名にしないで普通でいいやんか。作中作「おり」は切なくていい話だったのに、残念。2025/06/13
糸巻
24
初めて読む作家さん。物心つく前に母を亡くし伯母の家に引き取られ同い年の従姉サキと育った大学生のソータ。伯母が病気で亡くなり、不可解な遺言状がソータに届く…。その遺言状の内容が本当に不可解だったから、その謎を解いていくミステリをイメージして読み進めたら違った。かつて高校生だった少女達が撮った1本の映像を見た若者達が、それぞれに抱いたインスピレーションを結集させて新たな作品を作り上げていく、クリエイティブな青春小説だった。幼稚な嫉妬を拗らせたサキに皆優し過ぎなのが気になったかなぁ。作中作が私好みでした!2025/06/06
toshi
14
キャラ設定は良いし、周りを巻き込んでプロジェクトを成功させようと言うストーリ展開も面白いんだけど、そもそもの出発点となる遺言から始まって主人公達の行動原理が理解できないし、キモとなる映画の内容が全くピンとこない内容でリアリティが無さ過ぎ。 また登場人物達のカタカナのネーミングも良くない。2025/06/16
ときわ
9
何かをプロデュースするとはどういう事かはよく理解できたので、そこは良かった。でも肝心のストーリーや登場人物には寄り添えなかった。姉に執着するあまり妹が同時に妊娠ってどうやったら可能なのか(相手は不明)。私はそこを知りたかったが全然語られず。ほぼ同時に生まれたいとこが幼児の時から一人は片方を嫌悪、もう一人は無条件に受け入れるってあるのか。など物語が不自然。友情とかいろいろ作為的過ぎて感動出来なかった。だがともかく私は全部読めたので、読ませる力はあったのだと思う。2025/06/26
華形 満
6
読み進める内に、ストーリーへの興味がどんどん減少して行く。とにかくどうにも理解不能だらけ。何故、故人の声を突き止めないと家を強制的に手放す事になるのか?主人公・ソータを取り巻く人物達があまりに都合良すぎるし、どうしてこういう帰結の仕方をするのか?どうにも構想からボタンの掛け違いのまま出版された様な印象の作品。2025/07/19