内容説明
警視庁の地下に存在するという謎の料理店「警視兆」。不幸にも割烹課の「警視兆」に異動してきた花菱朝彦は、警察官にもかかわらず調理師免許を取得し、板前として働いていた。ある日、『落としの源さん』という伝説の元刑事が客としてやってきた。彼は「カツ丼」で、どんなやっかいな容疑者も自白させるという。「カツ丼」にどんな秘密があるのか。だが、朝彦と源さんは、奇妙な事件に巻き込まれて──。抱腹絶倒の書き下ろし警察小説。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ちょろこ
112
一応、警察小説の一冊。ドジ坊こと花菱朝彦もだいぶ警視庁割烹課の「警視兆」の板前捜査に慣れたもよう。第一話から落としの源さんのカツ丼で笑わせてもらって早くもお腹いっぱい。カツ丼=ゲロ(自白)ってたしかに昭和の典型的なパターン。昔の取り調べ室シーンがリアルに目に浮かび笑いの涙が止まらない。そしてそんなカツ丼がとある事件にひと役かうとは。第二話の張り込みシーンはまるでコント。なぜにあんぱんがベストなのか妙に納得。笑い、事件捜査、食、解決、じんわりな〆、そして嘘くさい豆知識も楽しめちゃう、これでも一応、警察小説。2025/06/09
タイ子
85
シリーズ第2弾。警視庁の地下にある地下割烹「警視兆」。ささやき女将は警視正であり、調理人の花菱朝彦はれっきとした警視庁割烹課の刑事なのである。今回も奇妙な事件を追いかけて大いに笑わせていただきました。ある理由で退職した落としの源さんが取り調べで出すカツ丼を食べた被疑者は必ず自白するというジンクスが。どんなカツ丼?たかがカツ丼、されどカツ丼てことで。2作目は超有名なアニメ作家の家に潜入捜査をした朝彦。殺人事件解決のためにどんな試練が待ってるのか。今作もキャラの光る登場人物たち。カツ丼が食べたくなる読後。2025/06/04
aquamarine
52
警視庁の地下4階にある刑事部割烹課「警視兆」、花菱朝彦のシリーズ二冊目。今回は中編が二つだが、きちんと伏線を仕込んであるので事件の真相には意外と辿り着きやすい。ところどころに仕込まれたネタに何度もくすくす笑いながら楽しく読んだ。相変わらずの朝彦の空気を読まないところやドジぶりもいいし、フリーター・トリルもいい味で嬉しい。一話目は勿論カツ丼が食べたくなったし、二話目の絵本作家の話では、料理人の本領発揮でやっぱりお腹がすいた…。今夜は干物にしよう。2025/08/01
タツ フカガワ
51
“警視庁地下割烹”シリーズ2作目は中編2話を収録。取調室で口を閉ざす容疑者に“落としの源さん”の異名を持つ老刑事がカツ丼を差し出すと……。コテコテのコントのような場面からスタートするのが表題作。もう一つは子ども向けのアニメで絶大な人気を誇る作家の仕事場兼自宅に刑事部割烹課の花菱朝彦刑事が料理人として潜入。どちらも殺人事件という重大案件で、美味しそうな料理が事件解決の鍵となる展開は、前作よりも面白かった。2025/08/12
ケイト
44
『取調室〜』もうふざけ感満載、「警視兆」で料理の腕を上げた朝彦の活躍がめざましい。カツ丼で犯人を落とす元刑事の源さん、昭和の刑事と今どきの刑事の対比が笑える。『張り込みには〜』張り込みにはなぜアンパンと牛乳か⋯蘊蓄垂れる刑事、回りの人達もなぜか個性強すぎる。田中さん、ダジャレをたくさん取り入れて色んな人をリスペクトしながら、最後は事件解決するのはお見事でした。次回もご来店お待ちしておりますw2025/06/29