内容説明
歴史とは、勝者が紡ぐもの。では、何故『平家物語』は「敗者」の名が冠されているのか? 現代では作者不明の『平家物語』は誰が書き、何を託されたのか――。平清盛最愛の子・知盛は交戦を続ける源氏を前に、木曽義仲を水島の戦いで破った。だが、敵には源頼朝、そしてまだ、戦の天才・義経がいる。知盛はこの苦境に、どう抗っていくのか。平家全盛から滅亡まで、その最前線で戦い続けた知将が望んだ未来とは。時代を創った綺羅星の如き者たち、善きも悪きもそのままにそのすべて。(全二巻)(解説・佐藤可士和)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
けやき
38
今村翔吾版平家物語。各戦いの新解釈が意外すぎて驚いてしまった。まぁ、こういう平家物語もアリなのかもね。2025/06/20
Shun
28
壇ノ浦で滅んだ平家の物語を後世に伝える。琵琶を通して西仏なる僧へと伝授する語り手の正体とその思惑に胸が熱くなる。知将・平知盛が目指したのは戦を繰り返さない世界。それは敵方である源氏の存在も必要であると説く父清盛の教えと朝廷の思惑に翻弄されてきたことで辿り着いた答えでもあった。その為に戦の天才・義経とその背後で操る狡猾な頼朝を相手に奮戦してきた知盛であったが、遂に壇ノ浦の海戦で散る。そして滅びは必定と悟った知盛は敗者が生きた証を後世へ残すため、最後の策を平家物語に託したのであった。2025/05/25
けんけんだ
18
歴史は勝者によって書かれる。源氏びいきになりがちだが、このお話は源平合戦の敗者、平家目線の物語。平家物語誕生の秘話として物語が進む。平家の人たちを初めて詳しく知ることができてすごく面白かった。義経との秘話も面白い。この構成は「じんかん」と同じでよい。2025/05/31
tomo
17
☆☆☆☆☆ 4.6 作者不詳の平家物語。平安時代のこの物語が、現代まで読み継がれているのは奇跡的だ。この中では腹黒い敵役の頼朝は、平家物語がなかったらどんな風に描かれていたんだろう。今の教科書で習う歴史は、正に勝者が編んだものだ。本書今村版平家物語も一つの見方に過ぎなかもしれないが、こういう多様性は必要じゃないかな。2025/06/29
あいら
16
考えてみたら、源義経と言う日本史の中でもSSS級のチート人物がいなければ、簡単には成し遂げられなかった平家滅亡なんだから、平家が公家化して戦に弱かった…なんてことがあるわけないんだわ、と改めて気付かされました。 平家物語を編んだ人物が誰なのか、またその物語を他者に伝授する意味とは。 正直これが史実であって欲しいと思ってしまいました。 実際は作者不明の平家物語ですが、小説だからこそ描ける想像の幅に感動しました。 学校の授業でしか触れたことのない平家物語をきちんと読んでみたくなりました。2025/06/07