内容説明
歴史とは、勝者が紡ぐもの。では、何故『平家物語』は「敗者」の名が冠されているのか? 現代では作者不明の『平家物語』は誰が書き、何を託されたのか――。平清盛最愛の子・知盛は交戦を続ける源氏を前に、木曽義仲を水島の戦いで破った。だが、敵には源頼朝、そしてまだ、戦の天才・義経がいる。知盛はこの苦境に、どう抗っていくのか。平家全盛から滅亡まで、その最前線で戦い続けた知将が望んだ未来とは。時代を創った綺羅星の如き者たち、善きも悪きもそのままにそのすべて。(全二巻)(解説・佐藤可士和)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
Sam
52
歴史のスポットライトは常に勝者に、源平で言えば源氏に当たる。よって自分も平氏のことは驚くほど知らない。果たしてどれほど悲しく切ない滅びの物語かと思って読んだのだが、諸行無常の「平家物語」もイマショウの手にかかると熱い物語になる。滅びゆく一族の話なのにこんなにもドラマチックで胸に響く物語であることを思い知った。語り手は一体誰なのか、清盛亡き後の平家を率いる知盛と義経の運命はどのように交錯するのかなどなど、興味を惹きつける要素も盛り込まれていてとにかく読ませる。バトルものもいいがやっぱりこれぞ著者の真骨頂か。2025/08/28
けやき
39
今村翔吾版平家物語。各戦いの新解釈が意外すぎて驚いてしまった。まぁ、こういう平家物語もアリなのかもね。2025/06/20
Shun
29
壇ノ浦で滅んだ平家の物語を後世に伝える。琵琶を通して西仏なる僧へと伝授する語り手の正体とその思惑に胸が熱くなる。知将・平知盛が目指したのは戦を繰り返さない世界。それは敵方である源氏の存在も必要であると説く父清盛の教えと朝廷の思惑に翻弄されてきたことで辿り着いた答えでもあった。その為に戦の天才・義経とその背後で操る狡猾な頼朝を相手に奮戦してきた知盛であったが、遂に壇ノ浦の海戦で散る。そして滅びは必定と悟った知盛は敗者が生きた証を後世へ残すため、最後の策を平家物語に託したのであった。2025/05/25
けんけんだ
19
歴史は勝者によって書かれる。源氏びいきになりがちだが、このお話は源平合戦の敗者、平家目線の物語。平家物語誕生の秘話として物語が進む。平家の人たちを初めて詳しく知ることができてすごく面白かった。義経との秘話も面白い。この構成は「じんかん」と同じでよい。2025/05/31
Y.yamabuki
17
知盛がとても魅力的に描かれている。合戦の場面が多い時代だと、どうしても殺伐としてしまうが、平家一門の団結、知盛わ慕う教経や妻子との絆が描かれ温かい。終盤に、この物語の語り手と意図がわかる。平家は滅びてしまうが、語り継がれていくことで、残っていく。気持ちの良い読後感。 2025/10/30




