内容説明
『噂の娘』文庫版の巻末インタヴューの準備に追われ、ワイズマンの映画に通う多忙な日々。
そんななかでも見逃せない、文壇、論壇に垂れ流される無神経な言説、日々の生活で出くわすおかしな現象。
鋭い批評性をもって、それらをばっさり斬りつつ、愛猫トラーと映画への愛を甘やかに綴る、過激で知的な日記的エッセイ。
〈解説〉山本浩貴
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
阿部義彦
19
中公文庫の出たばかり一月の新刊です。金井美恵子さん、本業の小説は正直良く分からない所も有りますが、この日記風エッセイはかなり猛毒な小言幸兵衛もどきで、一気には読めずちびちび読了。今回納められたのは2002年から05年までの分で、今は無き「噂の真相」の話題や、著者の気に入らない書評家、編集者、文学者、コラムニストなどが遠慮なく実名でしかも呼び捨て出てきます。特に高橋源一郎は大嫌いみたいで何回も登場、私の好きな橋本治も私とタメの島田雅彦もよくあげつらわれてます。怖いもの無しで筒井康隆より怖いかも。でも読みたい2025/02/01
ひろふみ
1
何言ってるかよくわからんほど賢そうだけど、恐い人だってのは知れるぞ。という巻頭の雰囲気から、徐々に書いてる方と読んでるこっちが馴染んで面白くなってくる(20年以上前の連載でも)。フレデリック・ワイズマンの映画で盛りあがり飲みすぎてしまう、のは羨ましすぎる情景で。著者の日々が「奇跡的な指針(中略)として私を支え、勇気づけてくれる。」と解説・山本浩貴が記す気持ちに大いに賛同するのだ。2025/04/06
バーニング
1
2002年〜2005年までの、解説山本浩貴の表現を借りると「日記風エッセイ」である。基本的に文壇のおじさんたちへの悪口がたくさんあり、特に島田雅彦と高橋源一郎がめちゃくちゃやり玉に挙げられている。サッカーW杯の話を聞くと2002年だなと思うし、政治の話題になるとちょうど小泉政権期と被っているなとも思う。殺伐としているようで、日常や感情をとにかく書きなぐって記録しておきたいという物書きの性も伝わってくる。2025/02/03