内容説明
田中小実昌 生誕100年記念刊行
『ポロポロ』から『アメン父』へ――。
幼少期、従軍、復員ののち東大哲学科入学。
米軍基地のアルバイトで暮らし、翻訳家、小説家となって後も、コミさんは哲学に関心を持ち続けた。
映画館への途中で、バスの旅で。カバンに忍ばせた文庫本に、文句と注釈をつけながらも読み続ける。
そんな日々が、いつしか「小説」となる……。
「哲学」「宗教」「小説」の三位一体のかんけいの謎を追究し、著者晩年の代表的シリーズとなった「哲学小説」を初集成(全三巻)。
第Ⅱ巻は『なやまない』『ないものの存在』。
巻末に関連対談を付す。
(刊行予定)
2025年1月 第Ⅰ巻(『カント節』『モナドは窓がない』) *第Ⅱ巻と同時刊行
2025年3月 第Ⅲ巻(単行本未収録短篇集)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
踊る猫
29
単純明快に、時々に読んだ書物や感じたことがらや生活のディテールなどをずらずら並べ立ててコミさんは独自の「哲学小説」を編む。一歩間違えればそれこそ一本調子の「作文」に堕すところだが、なかなかどうしてコミさんの思考回路の懐は深くこちらの思索のツボを刺激して飽きさせない。どこか具体的な結論に向けた剛直で「生産的」な思考より、そうした思考が実る「手前」で逡巡し何度も迂回する思考こそコミさんの持ち味ではないだろうか。ならば、かならずしも成功作とは言えないにせよそんなコミさんの「素」「ナチュラル」はあざやかに結実する2025/04/13
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