内容説明
ある時、夜中に高野は、半睡半覚で気がつくと腕が伸びていた。腕は壁を抜けて自宅の外まで達し、なにかを掴んだ「腕の魂」。勉強に集中できなくなる度に決まって現れる、自分の姿によく似た幻影「ベンキョーに負ける」。山で道を誤った男は、近くの小屋に宿泊した。女が暮らしているその小屋では、決して見てはならないものがある「砂人魚」。幽霊でも人間の狂気でもない、解釈不可能の恐怖体験談を描く。旋律の怪談実話、第2弾。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
眠る山猫屋
64
平山さんにしてはハードじゃないから、読み易い。壁を抜ける猫、口をつく異言、夢の中の出来事。もちろん心霊も姿を現すが、“なんだかわからないもの”が圧倒的に多い。朱雀門さんの脳釘怪談に近いかな?堅気の親友の仇討ち『あいつ』とか、武士が少女に取り憑く『十五の春』みたいな良い話(苦笑)も収録されている。平山さんらしいシャープな切れ味は健在。グロテスク成分は低め。2022/07/23
ももっち
52
怖い。スプラッター系やモンスター系、心霊系でも長編で、設定が自分の日常生活とかけ離れたものは虚構が明確であり、関係のない世界で「ホラー」としてのエンターテイメントの一つとなり楽しめる。要は他人事だから。しかし、出来事や現象のみを語る短い体験談の体が、私にはこの世で最も怖い。正体やメカニズムがわからないものや起こり得るものを語る言葉は私の中で同様の存在を創造する。出来上がった存在は私の頭の中で気配を創りぞわぞわと脅やかす。人によりツボが違うのだろうが、これが自分のリアルな恐怖なのだ。この本は、その極み。2016/12/20
じゅんぢ
40
人間の怖さを書いた「東京伝説」、霊的な怖さを書いた「怖い本」に対し、よくわからないものを書いた「こめかみ草紙」シリーズ。前作と比べると線引きがあいまいになっている気がするけど、それでも面白かった。2018/09/26
みや
34
実話怪談43作収録。1年前に読んだ第1弾「串刺し」は全く怖くなくて拍子抜けだったと自分で感想を書いていたのだが、今回は楽しく読めた。実話怪談に対する私の考え方や向き合い方が変わったのか、純粋に前作より面白さが増したのか。多分前者。実話怪談では理由とか現実味とかは考えず、恐怖も求めず、刹那的に楽しむ。以前は苛立たしかった生温さが、心地よくなってきた。ホラーやスプラッター好きの内面模様を的確に端的に表現してくれている前書きが何よりも素晴らしい。大抵の人が嫌悪することに対して<嬉しくなっちゃう>。正にそれ。2018/08/30
koguma
32
久々の平山さんで期待大だったのに、これはないでしょって感じだった。いかにも作り話的な短い怪談が43話も入っていたけど、どれを読んでも「は?」か「それで?」の感想しか持てなかった。つまりは怖くないってこと。私怪談は苦手だったんだけど、いつの間にか強くなってしまったんだろうか?2016/05/05
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