内容説明
空気を読まない女検事、降臨!
人が人を裁けるのか――
「正義」の番人たちの懊悩に迫る人情検察小説。
「特捜部初の女性検事」として期待と嫉妬を一身に背負う常磐春子は、着任早々、下水道事業の五社談合事件を任された。落とし所は末端社員たちの摘発――。しかし、取り調べ中に闖入してきた被疑者の幼なじみによって、捜査は思わぬ方向に転がり始めた。
築地の魚屋で働く男は、被疑者を庇いながら言葉を吐く。
「おれはよ、法に背いたのは人間じゃねえ気がするんだ。人間の周りを囲んでいる全体みたいなもんだ」
覚悟を決めた春子は、検察幹部仰天の一手に出た(表題作)。
見習い検事の倉沢ひとみが異動先の鹿児島で一騒動を起こす「ジャンブルズ」、小倉支部の万年窓際検事・久我周平が組織から孤立しながら凶悪暴力団に立ち向かう「海と殺意」ほか、全4話の連作短編集。
※この作品は過去に単行本として配信されていた『恋する検事はわきまえない』の文庫版となります。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
papako
33
転がる検事の続編の短編集。タイトルから倉沢の鹿児島での話かと思っていたら、違う検事の恋でした。健ちゃん最高!有村がんばれ。そして久我さん、さらなる活躍を読めそうですね。作者さん、新聞記者さんだったということで、ちょっと独特の古くささがある文章ですが、解説にも書かれているように妙に前向きであたたかい気持ちにさせてくれます。登場人物たちもなんか人間くさい。くせになる作品ですね。2025/05/17
まぁみ
23
久我検事の物語ではありません。周りの検事たちの人間模様です。続編と言えば続編。様々な検事の短編集。シリーズとは言え、本作から入って問題ないと思います!お仕事小説のような感じでした。健ちゃんにほっこり♡2025/06/01
丸々ころりん
15
「転がる検事に苔むさず」 久我周平と共に事件を解決したお仲間のその後短編集 前作で所々匂わせエピソードが繋がりました。2025/07/27
けんけんだ
15
控えめだけれど検事の仕事がしみじみと心地よくわかる短編集でした。2024/12/22
キキベル
8
前作は読んでないのですが、この本からでも全く問題なしでした。各章でのリンクが楽しくて。嫌な感じが全くない作品で、それぞれのキャラも魅力的。他の作品も読みたくなる作家さんでした。2025/05/05