内容説明
窓際検事の逆転なるか!
夏の夜、若者が高架鉄道から転落し、猛スピードの車に衝突した。自殺か、他殺か。判断に迷う刑事課長は飲み友達の検事、久我周平に助けを求めた。出世レースから外れた久我は日の当たらぬ部署で罰金刑など軽めの事件ばかり扱う一方、遺体の検分には豊富な経験を持つ。久我は靴の傷に他者の関与を疑う。交番巡査、新人の女性検事とともに若者の身辺を探っていくと、高級外車を巡る、海を越えた取引が浮かびあがった。法務検察内のパワーゲームにも巻き込まれながら、男の正体に迫っていく。窓際検事の逆転なるか。
◎著者は、検察庁など司法を担当した現役新聞記者
◎解説は元最高裁判事の甲斐中辰夫氏
◎第3回警察小説大賞受賞作
真摯に正義を求める“生身の検事”がここにいる―――柚月裕子 氏激賞!
※この作品は過去に単行本として配信されていた『転がる検事に苔むさず』の文庫版となります。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ケイ
91
この検事、出世できてはいないものの、それはしっかりと仕事が出来る事に対するカウンターなのだろうかと推測しながら前半は読んでいたが…、かなりいい加減なところもある。巡査のひたむきさに救われた。シリーズになるのかな。この3人で色んな事件にむかう姿を引き続きみたい。2024/03/26
mike
80
面白かった!この前、続編を先に読んで失敗したけど、やっぱり順番って大事だな。窓際検事の久我、彼の下に配属された向こう意気の強い新人倉沢、刑事志望の交通巡査の有村。要領がいいとは言えないこの3人が男の転落死事件を追う中で、信頼関係が育っていく。久我の人となりがとても良い。検察内のパワーゲームに敗れてしまっているように見える。だが、彼は自分の仕事が好きであり、これまで力を尽くしてきた事に誇りを持っているのが清々しく、上昇志向の強かった倉沢に大きな影響を与える。酒で失敗して家族に大目玉を食らうのも御愛嬌😘2024/09/23
小説を最初に書いた人にありがとう
53
初読みの作家さん。帯の柚月裕子激賞の文字に柚月作品フリークの自分は読まざるを得ず手に取った。物語は高架から転落し、車に衝突して若者が亡くなった事故は殺人事件か?他殺か。そこに検事の久我が調べていく。部下の気の強い女性検事と交番巡査のチームで捜査を行い事件の謎を解いていく。同時に検察内の出世争いなどの要素も入り、正義とは何か?等、深みを増していく。非常に楽しめた作品。2024/09/15
ほんた
27
有能で比較的温厚主人公の検事。出世には興味がないが,周りからの評価が異様に高い。気の強い部下の女性検事との絶妙なやり取りがとても面白かったです。 それにしても,最後のどんでん返しには驚きました。 https://hontablog.com/転がる検事に苔むさず2024/12/27
丸々ころりん
21
検事 久我周平は自分の責任で事件を解決するが自分が優秀であるなどとアピールもしなければ,出世の為に上司の機嫌も取らず陽の当たらない部署であろうが実直に仕事をこなす。ロクな仕事をしない同期からすれば目の上のたん瘤 2時間ドラマになりそうな物語。 2025/07/27