日本の犯罪小説

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日本の犯罪小説

  • 著者名:杉江松恋【著】
  • 価格 ¥2,420(本体¥2,200)
  • 光文社(2024/10発売)
  • ポイント 22pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784334104559

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内容説明

昭和の頃、小説の中の犯罪者は、固定観念を打ち砕く革命家のようでもあった。激しい怒りと、震えるような苛立ちが彼らを突き動かしていた。作家たちは、彼らに何を仮託していたのか。そして、社会の変化と成熟は、犯罪小説をどう変容させたのか。大藪春彦、江戸川乱歩、松本清張、阿佐田哲也、池波正太郎、小池真理子、宮部みゆき……18人の作家の創作の秘密に、「犯罪」のキーワードから迫る、迫真の文学評論。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

パトラッシュ

132
社会と犯罪は表裏一体であり、多くの作家が犯罪を通じて社会の病理を追及してきた。『赤と黒』や『罪と罰』は典型だが、日本文学でも歴史の闇や人間心理の歪みが犯罪として噴出する作品は珍しくない。しかし大半はミステリとみなされ犯罪小説として評価されなかったが、本書は「この犯罪を描くことで作家は何を語りたかったのか」との視点から分析していく。殺人や賭博、暗黒街とヤクザ、政治に戦争などで加害者と犠牲者の肖像を描き、この世を支配する悪の様々な姿に迫る犯罪小説こそ普遍性を有する小説の在り方との結論には納得させられてしまう。2024/11/24

ハスゴン

29
普段からYouTubeでわかりやすくミステリを紹介されているので、ついつい作者の本も買ってしまうが犯罪小説という切り口の本はあまりなくて、ミステリの書評は数あれどあまり取り上げられてこなった作家も読めて興味深いですが、本人のせいではないが、労作だと思うがやや高い値段設定が悔やまれる。2024/11/02

くさてる

23
犯罪小説、というとミステリというイメージが浮かぶけれど、冒頭の大藪春彦の紹介から、この一冊がそんな狭いイメージにとらわれていないことが分かる。多くの作家がとりあげられているけれど、切り口が分かりやすく面白い。文芸評論かくあれ、という感じで著者の知識が作品や作家への理解を深めてくれる内容で、良かったです。読みたい作家も増えました。おすすめ。2024/11/21

M H

21
題のとおり日本の犯罪小説を取り上げた評論。俎上に上がった作家は、大藪春彦、水上勉、松本清張、山田風太郎、石原慎太郎、結城昌治、宮部みゆきら18人。論によると、個人と社会が対立するときに犯罪が生まれ、犯罪者の心理、犯罪の態様、ベクトルは様々なようだ。上記の作家は日本社会の犯罪をそれぞれ消化して犯罪小説の地平を切り拓いた。私の理解力不足でうまく説明できないが、切り口の面白さと膨大な作家歴から重要作を手際よく紹介する手腕は感じた。社会と無関係な小説などそうそうないと思わされる。2024/10/30

Tanaka9999

17
2024年発行、光文社の単行本。全16章、18人。犯罪小説とは犯罪者を描いた小説のこと、という理解でいいのだろうか。この犯罪小説を切り口とした作家に対する評論集、ということになるのだろう。時代的にも広く、犯罪者を描くものであれば時代小説も範囲に含めている。こういう視点での作家評論はなかなか面白いと思う。2024/12/16

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