内容説明
新しい視角で描きだす日本荘園史研究入門!重厚な研究蓄積の上に築かれたこれまでの荘園史とは大きく異なる新しい荘園史の見方、考え方を示し、研究用語や研究史上の名著を解題して、分かりやすさに徹した指針の書。
目次
第1章 古代の荘園
第2章 摂関期の荘園
第3章 院政期の荘園
第4章 鎌倉期の荘園
第5章 中世荘園の構造
第6章 南北朝期~戦国期の荘園
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
coolflat
11
66頁。11世紀末に白河院政が始まると、王家(院・天皇・女院)・摂関家の主導によって多くの荘園がつくられていった(立荘)。立荘は12世紀前半の鳥羽院政期をピークとし、13世紀前半頃まで行われた。立荘が展開していくと王家・摂関家・寺社それぞれの荘園群が定まっていき、それぞれの社会集団は荘園を基盤とする体制をとるようになった。67頁。古代荘園は荘民不在の荘園であった。しかし院政期以降の荘園は村落を基盤に生活する人々や村高そのものを含み込む形になった。中世にはこうした領域的な荘園こそが荘園の一般的な姿となった。2017/06/14
ma3
1
中世の土地所有制度の軸となった「荘園」について、膨大な過去の研究成果を踏まえて、現在の到達点を示してくれています。しかもある時期のそれだけではなく、古代から中世終期までの荘園の形成から消滅まで、時代ごとのあり方・変化を追ってくれる、基礎的な論文集です。ここ数年、こういった基礎的かつ網羅的な書籍がないかずっと探していましたが、ようやく出版され、読めたこと。望外の喜びです。2013/11/24
こずえ
0
中世日本史できっても切り離せないワード、荘園。しかし実態はよくわからないまま大学生になってしまったのでこれでしっかりと勉強しなおした
OTR
0
S台予備校の先生や日本史学科の方がお勧めしていたので読んでみた。何しろ値段が高いので、図書館で借りたが、これは買って何度も読み直したい永久保存版レベルだと思う。古代荘園と中世荘園といった区分けは、初期荘園と寄進地系荘園で凝り固まった私には極めて新鮮で、従来、摂関期以降曖昧になってしまう部分が中等教育段階ではあった部分をある程度埋めてくれたのでは、と思う。とりわけ、鎌倉や室町の荘園は、知らないことも多く、ずっと唸っていた。しばらく時間を空けて再読したい。2014/09/29