フェミニズムと権力作用 新装版

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フェミニズムと権力作用 新装版

  • 著者名:江原由美子
  • 価格 ¥3,520(本体¥3,200)
  • 勁草書房(2024/10発売)
  • ポイント 32pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784326650941

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内容説明

〈家事は女の仕事〉ではなく〈男女両性の役割〉という認識が広まっている一方で、女性たちの間にはフェミニズムへのあきという感覚が深くなっているようにみえる。言葉として、思想としてフェミニズムが力を持っていたわりには女性の生活は大して変化していない。それはなぜなのか。本書はこの難問に立ち向かう。第一部ではフェミニズム論に焦点を合わせ、女性が対立するように置かれている仕組みを解き明かす。第二部は差別問題の構造を探る。日常性としての性差別をどう考えればよいのか。第三部では結婚、親子、老いなど多様な問題をとりあげ、これから女たちがどんな選択をしていくのか、その声を聞きとろうと試みる。性役割分業が歴史的な厚みのある心性や知覚の構造が生み出した厚みのある社会制度であることを強調して、困難な問いに答えようとしている。

目次

新装版への序文
はじめに

I

フェミニズムを卒業した女たち
 1 フェミニズムの言葉
 2 女たちの主観性
 3 フェミニズムは終わらない

フェミニズムと権力作用
 1 はじめに
 2 性差をめぐる論争と権力作用
 3 歪められた問――働くことをめぐる論争
 4 痕跡を消す権力――自発性と権力作用

解放を無(な)みするもの――「社縁社会からの総撤退」論批判
 1 女性の職場進出は何を意味するか
 2 理論的な議論と実践的戦略
 3 サービス産業化と家事代行業
 4 家事労働は労働でありながら労働ではない
 5 女性の社会進出とサービス化の関係
 6 生活者の自立とは何なのか
 7 汚染されない領域はありうるのか
 8 「天皇制」と女性の社会進出
 9 女性だけの「総撤退」は有効か
10 シングルの問題
11 女性の加害者性
12 「もうひとつの天皇制」イデオロギー
13 「企業一家的」構造と「天皇制」
14 「自然性」「自発性」の中の権力作用
15 抵抗できないものとしてのファシズム
16 所属集団への全面献身という倫理感
17 現実と幻想、具体的と抽象的という区別
18 見えなくさせられている家事労働
19 関心の構造と支配・被支配関係
20 女性の言葉を歪曲させる言説装置
21 共同性の共同確認と母性主義
22 モノを作る労働とサービス労働

II

差別問題の構造――言説の空洞化をめぐって
 1 差別論の位置
 2 差別問題の二つの位置づけと言説の空洞化
 3 正当性理念とその流通範域限界――近代社会システムの二重性との関連で

性別カテゴリーと平等要求
 1 はじめに
 2 「平等」と「異質性」
 3 社会的組織化活動における「異質性」判断と「平等」
 4 性別カテゴリーと「平等」要求

日常性としての性差別
 1 はじめに
 2 シュッツの平等論の問題設定
 3 ガーフィンケルの「アグネス」論文と性別カテゴリーの位置
 4 会話分析と対面的相互行為場面における男女の権力関係

III

結婚の意味の変貌
 1 結婚をめぐる意識構造の変化
 2 独身志向のゆくえ
 3 結婚の意味の諸相
 4 結婚をめぐる価値基準の時間的配列
 5 結婚志向と結婚忌避志向
 6 結婚をめぐる規範の解体と言説の噴出

性別分業論は成立するか――これからの女と男
 1 女性の二重役割
 2 女の仕事・男の仕事
 3 家事労働を誰がするか
 4 性別分業論を越えて

夫婦関係と親子関係のゆくえ
 1 家族の危機
 2 性愛の噴出――夫婦関係のゆくえ
 3 血縁の変質――親子関係のゆくえ

男性の老い・女性の老い
 1 女の老いの両義性
 2 引退と老賢人のイメージ
 3 老いの志向と老いの状況
 4 母役割・祖母役割のおしつけ

あとがき
初出一覧

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

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3
表題の「フェミニズムと権力作用」の章が特に興味深い。そして、フェミニズムは平等を達成するというより(広い意味で言えば)現状を支配する規範と権力に気づくことなのかもと思ったり。また、家事労働は「女という属性に付随する自然的・生得的役割と見なされている」がために、労働条件からの視点は消え、良い/悪いの「道徳的・倫理的な議論」が先行するという説明にハッとする。『ひれふせ、女たち』でミソジニーは家父長制の監視役とあったが、女性に関する議論の主題が道徳や倫理にすり変わっていたら用心深くなるべきなんだろうなとか。2021/01/02

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