密航のち洗濯―ときどき作家

個数:
電子版価格
¥1,980
  • 電子版あり

密航のち洗濯―ときどき作家

  • ウェブストアに11冊在庫がございます。(2024年12月06日 10時55分現在)
    通常、ご注文翌日~2日後に出荷されます。
  • 出荷予定日とご注意事項
    ※上記を必ずご確認ください

    【ご注意事項】 ※必ずお読みください
    ◆在庫数は刻々と変動しており、ご注文手続き中に減ることもございます。
    ◆在庫数以上の数量をご注文の場合には、超過した分はお取り寄せとなり日数がかかります。入手できないこともございます。
    ◆事情により出荷が遅れる場合がございます。
    ◆お届け日のご指定は承っておりません。
    ◆「帯」はお付けできない場合がございます。
    ◆画像の表紙や帯等は実物とは異なる場合があります。
    ◆特に表記のない限り特典はありません。
    ◆別冊解答などの付属品はお付けできない場合がございます。
  • ●店舗受取サービス(送料無料)もご利用いただけます。
    ご注文ステップ「お届け先情報設定」にてお受け取り店をご指定ください。尚、受取店舗限定の特典はお付けできません。詳細はこちら
  • サイズ 46判/ページ数 336p/高さ 19cm
  • 商品コード 9784760155569
  • NDC分類 288.3
  • Cコード C0095

出版社内容情報

1946年夏。朝鮮から日本へ、
男は「密航」で海を渡った。
日本人から朝鮮人へ、
女は裕福な家を捨てて男と結婚した。
貧しい二人はやがて洗濯屋をはじめる。

【本書の内容】
朝鮮と日本の間の海を合法的に渡ることがほぼ不可能だった時代。それでも生きていくために船に乗った人々の移動は「密航」と呼ばれた。

1946年夏。一人の男が日本へ「密航」した。彼が生きた植民地期の朝鮮と日本、戦後の東京でつくった家族一人ひとりの人生をたどる。手がかりにしたのは、「その後」を知る子どもたちへのインタビューと、わずかに残された文書群。

「きさまなんかにおれの気持がわかるもんか」

「あなただってわたしの気持はわかりません。わたしは祖国をすてて、あなたをえらんだ女です。朝鮮人の妻として誇りをもって生きたいのです」

植民地、警察、戦争、占領、移動、国籍、戸籍、収容、病、貧困、労働、福祉、ジェンダー、あるいは、誰かが「書くこと」と「書けること」について。

この複雑な、だが決して例外的ではなかった五人の家族が、この国で生きてきた。

蔚山(ウルサン)、釜山、山口、東京――
ゆかりの土地を歩きながら、100年を超える歴史を丹念に描き出していく。ウェブマガジン『ニッポン複雑紀行』初の書籍化企画。

【洗濯屋の家族】
[父]尹紫遠 ユン ジャウォン
1911‐64年。朝鮮・蔚山生まれ。植民地期に12歳で渡日し、戦後に「密航」で再渡日する。洗濯屋などの仕事をしながら、作家としての活動も続けた。1946-64年に日記を書いた。

[母]大津登志子 おおつ としこ
1924‐2014年。東京・千駄ヶ谷の裕福な家庭に生まれる。「満洲」で敗戦を迎えたのちに「引揚げ」を経験。その後、12歳年上の尹紫遠と結婚したことで「朝鮮人」となった。

[長男]泰玄 テヒョン/たいげん
1949年‐。東京生まれ。朝鮮学校、夜間中学、定時制高校、上智大学を経て、イギリス系の金融機関に勤めた。

[長女]逸己 いつこ/イルギ
1951年‐。東京生まれ。朝鮮学校、夜間中学、定時制高校を経て、20歳で長男を出産。産業ロボットの工場(こうば)で長く働いた。

[次男]泰眞 テジン/たいしん
1959‐2014年。東京生まれ。兄と同じく、上智大学卒業後に金融業界に就職。幼い頃から体が弱く、50代で亡くなった。

内容説明

1946年夏。朝鮮から日本へ、男は「密航」で海を渡った。日本人から朝鮮人へ、女は裕福な家を捨てて男と結婚した。貧しい二人はやがて洗濯屋をはじめる。蔚山、釜山、山口、東京―洗濯屋の「その後」を知る子どもたちへのインタビューと、わずかに残された文書群を手がかりに、100年を超える家族の歴史をたどる。

目次

密航1946
第1章 植民地の子ども(朝鮮 1911‐24;日本 1924‐44;朝鮮 1944‐46)
送還 1946
第2章 洗濯屋の家族(尹紫遠 ユンジャウォン;大津登志子 おおつとしこ;泰玄 テヒョン たいげん;逸己 いつこ イルギ)

著者等紹介

宋恵媛[ソンヘウォン]
博士(学術)

望月優大[モチズキヒロキ]
ライター。著書に『ふたつの日本―「移民国家」の建前と現実』(講談社現代新書、2019年)。認定NPO法人難民支援協会が運営するウェブマガジン『ニッポン複雑紀行』の編集長を務める。様々な社会問題に取り組む非営利団体の支援にも携わっている

田川基成[タガワモトナリ]
写真家。長崎県出身。土地と記憶、移民と文化などをテーマに作品を撮る。千葉に暮らすムスリムのバングラデシュ移民家族の5年間の生活を写した「ジャシム一家」で第20回三木淳賞。故郷・長崎の離島沿岸部への約4年に渡る旅を記録した写真集『見果てぬ海』(赤々舎)で2022年日本写真協会新人賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

fwhd8325

70
素晴らしいという感想が的確かわかりませんが、このような作品は、たくさんの方に読んでもらいたいし、たくさんの方が知ってほしい内容だと思います。このような歴史をしっかり教育に組み込むことが大事なんだと感じます。今、一部の人だけでなく、国家がこうした歴史を繰り返そうとしている。2024/03/05

たま

67
尹紫遠さん(1911年生)は24年~44年を日本で過ごし、一時期朝鮮に戻るが46年、混乱を逃れて日本へ密航、針尾収容所に収容されるも逃げ出し、働きながら小説を書き64年死去。この時期の密航者がその経験を書き残した例は少なく著者は彼の足跡を辿る(1)。私には尹さんの家族が興味深かった。妻登志子さんは日本の裕福な家庭の出身 (2)。長男の泰玄さんは苦学して大学を卒業、外資系銀行に就職(3)。長女逸己さんも苦学しつつ結婚、離婚、町工場で働き親の面倒を見る。彼らの国籍の変遷、その複雑さに国と法律の非情を思う。2024/08/25

kawa

36
戦前から朝鮮半島と日本を行きつ戻りつ密航を繰り返した尹紫遠(ユン・ジャウォン)。戦後、零細クリーニング店を経営しながら作家を志したが、その作品は陽の目を見ることはなかったようだ。本書は、彼の作品の抜粋を交えながら、彼と家族の過酷で特異な人生を追う異色のオーラル・ヒストリー。本書に描かれるような、国家・国民間の軋轢の中で理不尽で言葉に言い合わせられない苦労を背負った人々は数多くいると想像するのだが、このような記録として多くの人に提示できることは稀なのだろう。そこにだけでも本書の意味が大いにあるのだと思う。2024/07/06

星落秋風五丈原

18
えっ日本に密航?って現代の話ではありません。2024/05/09

Kerberos

16
共著者のひとり望月優大は、急増する日本への移民問題の専門家としてさまざま情報発信している。しかしそのターゲットはいうまでもなく移民というプリズムを透して見える日本であり世界である。在日(朝鮮人・韓国人)の存在は日本固有の歴史問題のように見えるが、つまるところ人類普遍の問題である。主人公の尹紫遠は日韓併合期の在朝日本人問題をも浮かび上がらせた。歴史の掘り起しという意味で価値のある作品だ。それにつけても国境が存在し続ける限り移民は生まれる。「合法」移民でなければ「密航」と呼ぶ安易さに警鐘を鳴らす労作でもある。2024/04/04

外部のウェブサイトに移動します

よろしければ下記URLをクリックしてください。

https://bookmeter.com/books/21719148
  • ご注意事項

    ご注意
    リンク先のウェブサイトは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」のページで、紀伊國屋書店のウェブサイトではなく、紀伊國屋書店の管理下にはないものです。
    この告知で掲載しているウェブサイトのアドレスについては、当ページ作成時点のものです。ウェブサイトのアドレスについては廃止や変更されることがあります。
    最新のアドレスについては、お客様ご自身でご確認ください。
    リンク先のウェブサイトについては、「株式会社ブックウォーカー」にご確認ください。