内容説明
「民主主義の危機」が声高に叫ばれている昨今、巷には「民主主義を守れ!」といった言説が溢れている。
しかし、なぜ民主主義は危機に瀕しているのだろうか? そもそも、それは本当に「危機」なのだろうか? そしてもし民主主義をめぐる思想・議論のなかに、民主主義を土台から掘り崩すような要素があるとすれば……?
著者は、民主主義の思想と実践の歴史をたどり直すことで、民主主義論に胚胎するエリート主義的でお花畑的な思考様式を剔抉する。そうして明らかになるのは、「民主主義」「自由」「平等」を言祝ぎながらも、あらかじめ恣意的に決められた理想へと人民を自ら教え導き、同時にその理想に追従しない人々を排除する民主主義論者たちのイデオロギー的本性 ――〈民主至上主義Democratism〉である。
「民主主義は反民主主義的であるのだろうか?」(本書序章より)
今こそ、この難問に真正面から向き合わなければならない時ではないだろうか。
目次
序文
謝辞
第1章 ジャン=ジャック・ルソー
第2章 民主至上主義の定義に向けて
第3章 トマス・ジェファーソン
第4章 ウッドロー・ウィルソン
第5章 ジャック・マリタン
第6章 熟議的民主至上主義
第7章 新保守主義、あるいは戦時民主至上主義
第8章 結論
訳者解説に代えて
参考文献
原註
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Tomoichi
15
夏休み大人の読書課題って自分で決めて読む。最近民主主義についての本を読んでいるが、結局これこそ民主主義と言うものは無いという事です。本書も民主主義民主主義と主張する達が実はエリート主義で愚民を彼らの考える民主主義を受け入れる様に人々を洗脳している事を学術的に迫っています。マスコミが使う民主主義も所詮彼らの望む結果が出れば民主主義であり、相違すれば反民主主義。正しく著者が語る民主至上主義である。難しい本だけど、おすすめです。2025/08/17
タキタカンセイ
3
民主主義は正しい、民主主義は美しい、って言うけどポピュリズムだって民主主義じゃん、何綺麗事言ってるんだい、っていうことを極めて真面目に真摯に論じた本。じゃあどうすりゃいいの?って思うけどここには答えは書かれていない。角川ソフィア文庫『民主主義』の正反対(「真逆」ではない)の位置にある本ですね。「アメリカの民主主義」というのが欺瞞に満ちたものであることはよくわかりました。アメリカという国にますます興味が湧いてきました。2025/04/29
Akiro OUED
1
あー、すっきり。やっぱ、ルソーの唱えた一般意志はいかがわしい。民主至上主義の始祖ルソーは、テロをも民主主義実践手段として、ロベスピエールに断頭台上で実演させた。習近平、民主至上主義者らしい。論述の構成にペンローズの特異点定理やゲーデルの不完全性定理と同じ論理構造を見た。必読。2024/10/31
takao
0
ふむ2025/02/12
たわし
0
縁あって手にできた本2024/09/29
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- 和書
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