ちくま新書<br> 歴史学はこう考える

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ちくま新書
歴史学はこう考える

  • 著者名:松沢裕作【著者】
  • 価格 ¥935(本体¥850)
  • 筑摩書房(2024/09発売)
  • ポイント 8pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784480076403

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内容説明

史料の山に埋もれ、ひたすら解読している? 過去の出来事の是非を論争する? このようなイメージがある歴史学では実際に何が営まれているのか。明らかにしたいものは様々でも、歴史学には共通のプロセスがある。史料とはなにか。それをどう読んでいるのか。そこからオリジナルな議論をいかに組み立てるのか。歴史について語る前に、最低限知っておきたい考え方を解説する。

目次

はじめに──歴史家は何をしているのか/第一章 歴史家にとって「史料」とは何か/1 根拠としての史料/2 記録を残す/3 記録を使う/4 歴史学と文書館/第二章 史料はどのように読めているか/1 史料の引用と敷衍──史料批判の前に/2 逓信次官照会を読む──「史料があること」が「何かがおこなわれたこと」を示す場合/3 新聞記事を読む──史料に書いてあることをどの程度疑うか/4 御成敗式目を読む──史料の書き手と歴史家の距離/第三章 論文はどのように組み立てられているか(1)──政治史の論文の例/1 歴史学の論文と歴史研究の諸分野/2 政治史の叙述──高橋秀直「征韓論政変の政治過程」/3 政治史叙述の条件/第四章 論文はどのように組み立てられているか(2)──経済史の論文の例/1 マルクス主義的経済史2 経済史の叙述──石井寛治「座繰製糸業の発展過程」/第五章 論文はどのように組み立てられているか(3)──社会史の論文の例/1 社会史のなかの運動史/2 社会史の叙述──鶴巻孝雄「民衆運動の社会的願望」/第六章 上からの近代・下からの近代──「歴史についての考え方」の一例/1 歴史についての考え方と時代区分/2 「近代」、このやっかいなもの/3 歴史研究との向き合い方/おわりに/参考文献一覧

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

パトラッシュ

137
歴史に興味があって関係書を読むことも多いが、著者である歴史学者がどのような立場や手法で史料解読や論文組み立てをしているかは知らなかった。史料の内容だけでなく書き手は何を言いたかったのか、当時の読者がどう受け取ったかまで解釈し、論文とする過程で理論のみならず想像力が大きなウエイトを占めている。歴史について語る際は、問題を提起した学者の想像力こそ重要かもしれない。あと本書では言及されていないが、椿井文書のような偽文書や従軍慰安婦報道での偽証問題など「信用性が揺らぐ史料」の取り扱いについての考えも知りたかった。2025/03/25

venturingbeyond

53
帯の『歴史の解像度があがる!』のコピーの通りの良書。1・2章では、歴史学における史料の位置づけが、広く我々が行う「過去に生じた行為の実在性を語る(〜を元に語る)」ことと、専門の歴史家が史料中の歴史的根拠を示して歴史叙述を行うことの異同を通じて論じられる。次の3〜5章では、政治史・経済史・社会史の3つの日本近代史の論考が例示され、歴史叙述の実際が手際よく腑分されて、歴史家が何をどのように明らかにしようとしているのかが示される。2024/11/20

壱萬参仟縁

51
歴史家の叙述は、過去の出来事・状態についての情報を、複数つなぎ合わせて、相互に関連付けることによって成り立っています。情報は、何らかの方法で 使われる(傍点)(020頁)。歴史家は、過去の出来事・状態に関するある情報を、別の情報と組み合わせて、まとまった記述をする場合、情報には根拠がある前提で仕事している専門家(027頁)。社会史・民衆史では、対象の人が使う言葉に注目。どのように組み合わせて使うか、相互にどのような関係かが分析される(221頁)。2025/07/18

さとうしん

22
著者の専門である日本近代史を中心として、著者の論文、あるいは政治史・経済史・社会史の一定の定評のある論文を素材に、論文の書かれ方、読み方を解説することで、歴史研究とはどういう営みなのかを説く。それに付随して史料批判の実際、時代区分の問題などについても言及している。とにかく具体的なので、従来の歴史学入門や史学概論が雲を掴むような話でよくわからないという人にも有用かもしれない。歴史はともすると「使えてしまう」危険な存在、文書館を利用するのは研究者だけではないという話が印象に残った。2024/09/12

qwer0987

18
歴史学者がどのように歴史を調べているかについて概説している本でそれなりに興味深く読めるのだが、いまいちピンとこないのは所詮私が素人だからか。歴史学の論文は先行研究を整理し、そこから問いを立てて、史料を通して読み解いていくというプロセスを取る。ただしそのアプローチは政治史的だったり、経済史的だったり、社会学史的だったりと様々だ。そこには人それぞれのやり方があり、提示される結果も異なってくる。その多様性が理系の論文との大きな違いだなと読みながら思った。2025/06/09

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