内容説明
長年書き継いできた『南総里見八犬伝』も、おぼろになった視力では、もはや筆を折る以外なかった。不安と焦りにいら立つ馬琴の最後のよりどころは、嫁のお路よりない。無愛想で気働きに欠け、無教養な彼女が果たして馬琴の目になれるのか? 解説・細谷正充。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
シロナガススイカ
11
「『八犬伝』の筆記、わたしにさせていただけないでしょうか」/八犬伝はこうして完成した。/ああ、面白かった。読む前まではこれといった印象を持たない馬琴先生だったけども、なかなか実直で良いお人。堅物かつ幼稚という側面を併せ持ちつつも、諦観の境地で描き続ける姿は、さすが歴史小説の主人公にもなる人だと、逆説的に尊敬の念を抱いた。今か今かと待ち焦がれたお路の代書は終盤も終盤。彼女からの提案も急であったように思われるが、それも強調され続けた無愛想な性格ゆえと捉えるべきか。困難を超えての完成には、思わず涙腺が緩んだ。2025/10/27
ナジィ
0
根性で読み切った感あり。2025/09/30




