内容説明
【電子版巻末には春野薫久先生によるカバー用イラストをそのまま収録!】
大奥で唯一のお役目である「御幽筆」として亡霊騒ぎを調査する里沙のもとへ、毎晩うなされる友を心配する女中から依頼が持ち込まれる。さっそく亡霊の仕業ではないかと調査を始める里沙。だがその傍らにはあらたな亡霊の姿が……。
人と亡霊、生者と死者。
決して交わることのないそれぞれの想いが、霊視の力で綴られた里沙の手紙によって交錯した時、里沙は親友のお松に隠されたある想いを知ることになる――。
霊視の力を持つ奥女中と
記憶を失った侍の亡霊が織りなす、
感動のお江戸小説!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
色素薄い系
2
今回は友情がテーマとあったように初音と夕霧、里沙と松、松と…という3組の絆が見える話でした。その分左之介と里沙の関係や左之介の記憶に関しては劇的な何かはない。でも徐々に解き明かすヒントみたいなものは出て来ているようです。そもそもが夕霧に憑依していた霊は何を目的として里沙達の前に現れたのか分からないままだし、大奥内の事情に詳しかった僧侶の情報源なんかが漠然と見えてきたけどそれがどう作用するのかはまだ不明。藤は自分が死ななければならなかった理由を知らないまま成仏したけど知らないままでいいのか…と若干思った。2024/09/25
みちちゃん
1
人生の中で大切な人とのかけがえのない時間を共に過ごすということがあたりまえではないことを意識しないと気づきにくい。人との別れは辛いが辛いほどその人との時間が思い出深いということだ。死は突然に訪れることもあるだろう。この物語を読んでいて悔いの少ないようにそのひと時を大切にしたいと思った。2024/12/26