岩波文庫<br> 精神の生態学へ(下)

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岩波文庫
精神の生態学へ(下)

  • ISBN:9784003860311

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内容説明

動物のコトバとは? 精神のシステムとは? 世界を「情報=差異」が変換して巡る観念の回路として定式化.進化も文明も環境も心的な相のもとに一望し,人間─社会─生態系を包みこむ壮大なヴィジョンを提示する.下巻は進化論・情報理論・エコロジー篇.イルカのコミュニケーションの分析や,「有機体+環境」「柔軟性の経済」の概念など.

目次

第四篇 生物学と進化論
生物学者と州教育委の無思考ぶり
進化における体細胞的変化の役割
クジラ目と他の哺乳動物のコミュニケーションの問題点
「ベイトソンのルール」再考
第四篇へのコメント
第五篇 認識論と生態学
サイバネティクスの説明法
冗長性とコード化
目的意識 対 自然
目的意識がヒトの適応に及ぼす作用
形式、実体、差異
第五篇へのコメント
第六篇 精神のエコロジーの危機
ヴェルサイユからサイバネティクスへ
エピステモロジーの病理
環境危機の根にあるもの
都市文明のエコロジーと柔軟性
ベイトソンの歩み(III)──訳者
序文(一九九九)──メアリー・キャサリン・ベイトソン
グレゴリー・ベイトソン全書誌
索引

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

roughfractus02

12
中巻の精神医学から生物学、動物行動学、生態学へ移行する本巻の主題は、デジタル化した精神の無限後退の病であるダブルバインドから、生物をデジタルに区分する生物学に関係概念を導入した進化論へと移る。その際、遺伝子型(デジタル/系統発生)と表現型(アナログ/個体発生)の関係を考察する著者は、両者の協働する生命を構想する。そのような生命と環境の関係を両者を包み込む生態として提示した本書は、環境破壊とベトナム戦争に雪崩れ込む人間のデジタル化した精神にも、生命として環境に関わり均衡へと努力する生態を見出す(1971刊)2024/02/04

たかしくん。

10
知の巨人ベイトソンがいかんなく発揮された、歯応えのある3巻でした。下巻は、中巻からの続きの生態学を論じながら、その中盤以降は、これまでの大昔からのシステムに現代のテクノロジー(エピステモロジー)7が加えられることによる世界の破局の危機を、色々の角度から警告している。発表当時の1960年代に比べ、ますますAIの存在感が増す今でも、十分議論に値する主張。恐れ入りました。今こそ、政治、教育、テクノロジーの3つのあり方が問われるところ。2025/02/17

Yoshi

4
上中下と読むと、上や中のほうが面白い。 「認識論」に関しては、言語の話、意識の弊害などが語られる。 最後は、環境問題に関して論じる。個という認識のあり方を批判して、環境まで含めて考える必要があると説く。環境と個を分離することで、環境を搾取することになる。それが環境問題を引き起こす原因であり、認識のあり方を変える必要があると。学術的な話から、大分説教臭い話になった。(環境問題は大事ですが。)2023/10/04

ゆうちゃん

2
複数の学術的分野にまたがりながら統一的な思想を醸成させ現代の問題に精通する認識の在り方を提起したベイトソン。世界のあらゆる事象をパターンとして捉えることで、システマチックな解決を探るエコ思考で人類の危機を乗り越えよう。2023/12/21

文狸

1
意味と冗長性の議論は興味深く読んだ。進化に関する体細胞の議論が現代的にどのくらい意味を持つかなど、個人的に背景知識に乏しく読み方がわからないパートが多かった。2025/07/12

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