岩波文庫<br> 精神の生態学へ(中)

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岩波文庫
精神の生態学へ(中)

  • ISBN:9784003860304

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内容説明

「学習を学習する」とは? 動物が「遊ぶ」意味とは? 関係性の病理とは? 学びの階型構造理解を通じて,コミュニケーションとコンテクストの諸形式を分析,精神の病を「個人の心」から解き放つ.中巻は学習理論・精神医学篇.第二次学習やダブルバインドの概念,アルコール依存症のサイバネティクス的観点による解明まで.

目次

第三篇 関係性の形式と病理
社会のプラニングと第二次学習の概念
遊びと空想の理論
疫学の見地から見た統合失調
統合失調症の理論化に向けて
統合失調症のグループ・ダイナミクス
統合失調症の理論に要求される最低限のこと
ダブルバインド、一九六九
学習とコミュニケーションの論理的カテゴリー
“自己”なるもののサイバネティクス──アルコール依存症の理論
第三篇へのコメント
ベイトソンの歩み(II)──訳者

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

藤月はな(灯れ松明の火)

58
「統合失調症の理論化について」の章は私の父と私の関係に当て嵌まる事(愛の拒絶後の「愛」の安売り、双方向は認めないが一方的な理解を求めるなど)が多くてのめり込む様に読んだ。この章は専業主婦が多かった時代故か、母親との関係にクローズアップしている。しかし、家庭環境の状況やそこにいる個人の気質によって関係の立場が変わる事もあると実感で思う。また、私的にしんどい状況にいる事を理解しているのに「もっと酷い状態にならないと助けを求めてはいけない」という一種の意地もアルコール依存以外にも当てはまる事があるのではないか?2023/08/06

YO)))

17
「精神の生態学へ」は、この中巻から読むのでもいいかもしれない。論理階型(ロジカルタイプ)理論とダブルバインドの理論がまとまっていて、『事物を見固める科学から、コンテキストに目を見開いていく科学へと踏み上がる』ベイトソンの真骨頂が味わえるのではと思う。 (上巻もめちゃ面白いのだが、トピックがかなり雑多だし、メタローグが難解過ぎると思った。嘘つきのパラドクスを語る対話そのものが嘘つきのパラドクスを構成している、みたいなやつ) 2023/11/17

たかしくん。

15
なかなか骨太な本です。中間は、ダブルバインドがメインテーマかな?人間同士のメッセージに正確に行えば行うほどに矛盾が生じ、結果、メタコミュニケーションレベルの伝達ができなくなること。(p100) 真剣に読めば読むほどに、精神が病むプロセスが見えてくる!? そして、統合失調症、アルコール依存症の本質を、筆者のしつこいくらいのアプローチで迫る。上巻の父と娘の会話の不思議さをはるかに超えた、精神の生態学!!2025/02/05

roughfractus02

14
全7篇中最長の第3篇を収録した本巻では、人類学領域の上巻から精神医学へシフトする著者のステップが辿れる。映像を用いた儀式や遊びに関する人類学調査から、空想(ファンタジー)の学習が否定を導入して「似てる」から「同じ」へメタレベルに移る段階を帰謬法的になぞった著者は、その移行の失敗に段階間の断絶を見出す。「これは遊びだ」というメタメッセージを字義通り受け取るとパラドクスに陥ることを著者は「ダブルバインド」と呼ぶ。高度でリスキーな比喩の段階的伝達を踏み外してはじめて、精神の生態への道筋が見えることを本書は示す。2024/02/03

春ドーナツ

14
読んでいて意味がわからない言葉に出くわしても、そのままスルーして読み続けている。なんとかなるかなと希望するのだ。〇ゲシュタルト。文脈から「―心理学」の方だ。「人間の精神を、部分や要素の集合ではなく、全体性や構造に重点を置いて捉える。この全体性を持ったまとまりのある構造をドイツ語でゲシュタルトと呼ぶ。」(Wiki)〇サイバネティクス。「機械の自動制御や動物の神経系機能の類似性や関連性をテーマに研究する、心理学、生物学、物理学、数学等を包括した科学の総称」(ZDNET Japan)うん。文脈が助けてくれる。2023/09/22

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