内容説明
栃木県北西部の田舎町で、八人の女性が殺害された挙げ句、解体・遺棄されるという事件があった。その十五年後、現場だった犯人の元自宅、通称「バラバラ屋敷」へ肝試しに訪れた五人の中学生は、鍵の掛かった屋敷内を覗いたところ、卓袱台に同級生の生首が置かれているのを発見し……密室化した幽霊屋敷を巡る謎を描く表題作ほか、異界駅に迷い込んだ大学生グループが、密室からの殺人犯消失に遭遇する「にしうり駅の怪談」など、怪談作家・呻木(うめき)叫子が採集した四つの怪奇犯罪譚を収める。/【目次】「バラバラ屋敷の怪談」八人の女性が殺害され、解体された猟奇殺人事件。犯人の死後、施錠されたその自宅から生首が発見される。/「青いワンピースの怪談」博物館に度々現われる謎めいた十代の少女。彼女が目撃される先では、怪死事件が続いていた。/「片野塚古墳の怪談」人体に似た数十体の石像が並ぶ災厄の古墳。そこで新たな不可能犯罪が発生する。/「にしうり駅の怪談」異界駅の噂を調べるうちに消えてしまった友人をさがす大学生グループは、想像を絶する光景を目にし……。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ちょろこ
127
着地がお見事な一冊。怪談作家、呻木叫子さんが蒐集した四つの怪談ミステリ。一話目の「バラバラ屋敷の怪談」からいきなり叫子さん、冴えてる〜!って口笛吹きたくなった。ちょっとした箇所の推測はもちろん見事な叫子さんの推理の着地になるほど&やられた感いっぱい。そして底なしに拡がり行く不安感の見せ方も巧い。そこから各話、怪談とミステリの相乗効果でぐいぐいリードされながら連れていかれたラストの「にしうり駅の怪談」。終着駅で気持ちのよいミステリの景色を見せられた気分。巧いね。そして大島さんってやっぱりメロンが好きなのね。2024/09/11
yukaring
90
大島さんの怪談ミステリは本当に面白い。シンプルで端的なタイトルも良いし怪談作家・呻木叫子さんが再登場するのも嬉しい。八人の女性が解体され遺体で見つかったバラバラ屋敷 。殺人鬼は死刑となったがその屋敷では4人の女性の幽霊が目撃される「バラバラ屋敷の怪談」青いワンピースの少女を見た人間が怪死を遂げる「青いワンピースの怪談」奇妙な石像の謎「片野塚古墳の怪談」や異界駅で消えてしまった人々「にしうり駅の怪談」など4つの怪談が呻木さんの考察により繋がりを見せていく展開が秀逸。怪談とミステリのバランスの程よさも好み。2024/09/01
オフィーリア
64
今作も良きホラー×ミステリ。猟奇殺人、古代遺跡、都市伝説、多様な形式の怪談話をベースにその中に潜む人間の悪意は徹底的にロジックで解き明かす。それはさておき怪異は普通に暴れ回る一貫した世界観が素敵。次第四つの怪談がリンクしていく構成にゾワゾワしました。2024/08/30
ぽんすけ
63
呻木叫子先生、生きてた~!なんか雰囲気が変わった気がするけど大丈夫だよね?中身本人よね?さて今回は50年以上前のバラバラ殺人事件に端をなす4つのお話。どれも後味は悪いけど、このなんともいえない感じがこのシリーズの醍醐味か。叫子のレポートと、登場人物視点の情景が入れ替わっていくことで謎解きがより面白くなっていく。何気に今回も鰐口女史が登場していてうれしかった。この人を主人公にしてもシリーズ作品できそうだなぁ。一つ一つは全く別の事件のはずなのに、読み進めていくと何故か因縁で結びついているという手法が好きだ。2024/09/17
sin
62
『冷凍メロンの怪談』と云う原稿を遺して失踪してしまった呻木叫子が戻って来た。バラバラ屋敷の疑問、青いワンピースの少女の移り気、片野塚古墳に祀られたモノ、にしうり駅に置き去られた過去…彼女が取材した実話怪談に伴う犯罪がパズルのピースが揃うように補い合って事件の真相を導き出す。ここに怪談とミステリーの融合がみられる。さて、片野と人型の石像と云うと『永劫より』に登場する邪神ガタノソアを連想させる−ウルトラマンティガにもガタノゾーアと云う邪神怪獣が登場するが物語の終わりに頻発する地震は邪神復活の証なのだろう。2024/08/17