内容説明
一座の未来に、自分の姿はあるか――
見習い黒衣の狸八は、肝心の場面でしくじってしまう。
裏方として舞台を支える中で見つけた、進むべき道は…
若者たちの芝居への情熱がほとばしる好評シリーズ第2弾。
元は大店の長子だが道を踏み外し狂言作者見習いとなった狸八は、芝居一座鳴神座に少しずつ馴染んでいく。平家物語の一節、那須与一が扇を射る場面を駆け出しの役者たちで演ずるにあたり、狸八が黒衣を務めることに。
矢を受けて高々と舞う扇を演出する役目だ。しかし初稽古に思わぬ落とし穴が……。
失態を犯し針の筵の狸八は、再び己の居場所を作るべく奮闘する。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
デジ姫
9
黒衣として那須与一の扇の落とし具合の創意工夫、すっぽんや奈落の操作をする漁師たちへの気づきを考えたり狸八も座員の一人として今作も活躍。今後の狸八の活躍が待ち遠しい。2024/06/20
史
4
一つの船の全てを見渡せば、見えてくるものがある。2024/07/09
M2
3
前巻に引き続き今作もすごい!とにかく魅力的なお話。主人公はたしかに狸八だけど鳴神座もまた主人公たる存在なんだなと改めて思った。芝居に関わる様々な人々を描くことで鳴神座という存在が鮮やかにより大きく心に残る、そんな感じ。読んでるこちらも一座の一員になったようか心持ちになる。頼りない雰囲気の新人や奈落番のみんなも含めて、一座のみんなが今後どう活躍してくれるのか楽しみ。それにしてもこの作者さんの文章、本当に好き。このシリーズ以前の話も読んでみよう。2024/06/30
HASE, Moto
2
江戸三座に挑むべく躍進する気鋭の一座、鳴神座の人々を描く群像劇。 商家を勘当された狸八は一座に拾われて裏方となり、皆と舞台をつくりあげる楽しさに目覚めていく。シリーズ第2弾。 面白かった! 舞台鑑賞が好きなのもあって、情景が目に浮かぶ。一座の稽古場に居合わせているような気持ちで「当たれ!」と念じていた。 現代だったら化学的手法で下の人々は🥶←になるところ、江戸時代には別の手法で。そうやって知恵を絞って汗水流すのが本当に生き生きとしていて、とてもよかった。2024/06/07
N
1
おもしろい。狸八が芝居にのめり込み、徐々な大事な裏方を任せられていく姿や、畑違いの漁師が裏方に加わり鳴神座の芝居に魅せられていく姿。次も楽しみ。2024/05/08