内容説明
愛媛県の山間部にある過疎の村・赤虫村(あかむしむら)には、独自の妖怪伝説が存在する。黄色い雨合羽を着て暴風を呼ぶ「蓮太(はすた)」、火災を招く「九頭火(くとうか)」、廃寺に現われる無貌の「無有(ないある)」、そして古くから伝わる“クトル信仰”。フィールドワークのために村を訪れた怪談作家・呻木叫子(うめききょうこ)は、村の名家・中須磨(なかすま)家で続く不可能状況下での連続殺人に関わることになる。周囲を足跡一つない雪原で囲まれた大木に全裸で吊るされた縊死体。内側から施錠された石蔵で発見された焼死体。妖怪伝説の禍を再現するような事件は、やがて人知を超えた終結を迎える──第17回ミステリーズ!新人賞受賞者による初長編。/【目次】プロローグ/第一章 無有の怪談/第二章 位高坊主の怪談/第三章 九頭火の怪談/第四章 苦取の怪談/第五章 蓮太の怪談/第六章 赤虫村の怪談/エピローグ/解説=多田克己
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
W-G
349
はじめて読んだ作家さん。めちゃくちゃ雰囲気あって夏に最適。しましまぁ、何の説明もなくクトゥルー神話を当たり前のように融合させた世界観でかなりマニアックであることはたしか。解説がかなりわかりやすく説明してくれているけれども、ネタバレありなので読み終わってから…という注釈がついており事前準備の用をなさない。また、説明のつかない怪異がいくつも起こるので、何を推理の前提としていいのか線引きができず、犯人あてをするのは実質不可能。あまり本格ミステリだと力まずに楽しむ分にはすごく良いので、遡って一作目も読む予定。2024/07/14
眠る山猫屋
64
ちょっとチグハグ或いは物足りない印象が残ったが・・・巻末の解説を読んで、肯首する。クトゥルー神話をモチーフとした連続殺人事件の顛末を描いた本書。国を或いは世界を破滅させ得る力を持っているはずの旧き神々が、蕃神(異国から渡来した神)として崇め奉られる四国の村。秘神として密やかに崇められた神々が力を失い、妖怪のように矮小化するのは分かる。分かるが、スケール感がちょっと・・・と思ってしまったのだが、《この世界線にはHPラヴクラフトらは存在しない》のだと考えれば少し納得がいく。そこには→(続)2024/07/26
HANA
60
目撃されると嵐が来る「蓮太」黒い顔が無い妖怪「無有」等、どこかで聞いたような固有名詞が頻出するホラーミステリ。とはいえ神話とは直接関係なく、あくまで怪異は村という狭い範囲に収まっている。村を舞台にした怪談は土俗が中心となっているのが多いが、本作は語りの形式が実話怪談という体になっているため、そこまでおどろおどろしい雰囲気はないかな。実話怪談+ミステリって他にはあまり見かけないので好きだけど。トリックについては、雪の密室だと流石に後が見つかるだろ、と多少の突っ込み所はあるが、概ね内容とマッチしていました。2024/07/11
雨
37
面白かった。怪異が絡むホラーは好きです。新作も楽しみ。2024/06/18
小夜風
23
【所蔵】「影踏亭の怪談」が面白かったので楽しみにしていた。続編だけど時系列はこちらが先みたい。赤虫村の妖怪伝説をなぞらえたような殺人事件。今回は出てくるのが妖怪だからか都市伝説を聞く位の怖さだった。実際に人が亡くなるのだけど、降雪とか竜巻とか自然現象がこんな都合よく起こるものかなとトリックには少し懐疑的になってしまった。けど誰が犯人なのか(それとも怪異なのか)最後まで予測がつかなくてドキドキしながら読んだ。主人公が知り得ない真相も語られていて、主人公が知らないことを読者は知れるのかと不思議な感覚になった。2024/07/31
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